研究概要 |
ダイアコアの基本的なモデルを鋼板によって試作し,3点曲げ試験を行い線形領域における曲げ剛性を確認した.さらに有限要素法を用いて実験に近い条件で数値解析を行い,結果を比較するとともに,曲げ剛性に対するパネル高さや板厚の影響を分析した. また,ダイアコアパネルのセル形状と表面パターンの変化が機械的特性に与える影響を解析した.ここでは数値解析を用い,幾何パラメータと曲げ剛性,面内せん断剛性との関係を明らかにした.成形性が良く角柱型に近い形状のパネルが加工できるPET製パネルなどでは,曲げ,せん断共に幾何パラメータを変えるだけで基本モデルから最大で2倍近くまで剛性を上げることができる.現在のところ深い凹部の加工が困難な金属パネルについてはモデルの成形性を考慮しなくてはならないものの,剛性を向上させるのにモデルの幾何的パターンを変えることが有効であることが示された. さらに,金属製パネルを想定したプレス成形シミュレーションを行い,パネルのセル形状が成形性に与える影響を解析している.さらに前章の結果とあわせて剛性,成形性の両方の視点から金属製ダイアコアのセル形状を考察し,成形可能な形状の中で最も剛性の高い形状を明らかにした.成形性のよいPETなどの樹脂製パネルと異なり,鋼板やアルミ合金等の金属製ダイアコアパネルに関しては深い凹部の成形が困難であったが,これらの解析結果を利用することで金属性パネルの製作がより容易になると考える. これらの研究成果により,3次元構造を製作する上で基本となる平面パネルの実用化に関して大きく前進したと考える.特に,幾何学的パターンを数理的に体系化した上で,プレス成形性との関係を明らかにしたことで,需要の大きいと思われる金属製パネルの製作がより容易となった.
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