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植物は栄養条件に応じて体内の代謝バランスを変えることで。その生長を制御し、環境への適応を計る。このことからも、植物の代謝と生長は、それぞれの上流に位置するシグナル伝達系の密接な連携により制御されていることが予想されるが、その機構は現在、わかっていない。本研究はこの未知の機構を明らかにすることを目的として、他の生物において、細胞の代謝や生長の制御に関わることが知られている重要な制御因子PIIとTORの植物細胞における機能についての研究を進めている。
最初に、これらの制御因子は多面的な機能を持つために、遺伝学的な手法による研究は難しいことから、それぞれと相互作用する新規因子の同定と機能の解析を研究の方針とした。初年度は、アラビドプシスの緑葉プロトプラストでのスクリーニング系の確立に取り組み、今年度は、上記のスクリーニング系で得られたTORと相互作用すると思われた候補因子が実際にTORと相互作用するかどうかを、プロトプラストでの過剰発現系での免疫沈降、ファーウェスタンブロット、酵母ツーハイブリッド分析等の異なる手法で確認した。その結果、候補因子の一つはTORと相互作用すると考えられたことから、アラビドプシスの緑葉プロトプラストでのスクリーニング系の有効性が確認された。また、この因子の機能は未知であったが、植物に広く保存されていた。最終年度には、TORと候補因子の局在の決定と、候補因子のリン酸化等の有無、ノックアウト株の解析を行う。
今年度、上記の緑葉プロトプラストでのスクリーニング系の確立と平行して行った、抗TOR抗体と抗PII抗体による免疫沈降やプルダウンアッセイによるスクリーニングによっても、いくつかの候補因子が得られた。これらについても、相互作用の確認と機能解析を行いたい。
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