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2009 年度 実績報告書

アリヅカコオロギ類における化学擬態システムの進化と寄主特異性

研究課題

研究課題/領域番号 07J06495
研究機関信州大学

研究代表者

小松 貴  信州大学, 理学部, 特別研究員(DC1)

キーワードアリヅカコオロギ属 / 機種特異性 / ミトコンドリアDNA / 化学擬態 / 分子系統樹 / 盗食寄生 / 体表炭化水素 / アリ
研究概要

日本国内では、九州・南西諸島にてアリヅカコオロギ属のサンプリングを行い、トータル200個体以上のサンプルを分子系統解析及び飼育観察用に採集した。海外では、マレー半島にてサンプリングを行い、トータル100個体のサンプルを分子系統解析用に採集した。
分子系統解析は、得られたサンプル中20形態種500サンプルによりDNA抽出および分子系統解析を行い、得られた系統樹上に野外での生態情報を反映させた。その結果、内群は大きく19系統に分岐し、全北区グループと東洋区グループに2分された。そして、寄主特異性に関する形質復元を行ったところ、どちらのグループも共に単一アリ種に寄生するスペシャリスト系統が最も祖先的となり、特に全北区グループにて頻繁に形質状態の逆転が認められた。これにより、従来のモデル系である植食性昆虫などで認められてきた、ジェネラリストの系統からスペシャリストの系統が派生するというパターンとは異なる傾向が示され、本属が従来のモデル系とは異なる進化的性質を持ちながら多様化してきた可能性が示唆された。以上の結果はMolecular Phylogenetic and Evolution誌に投稿予定である。
飼育観察では、日本本土に生息する寄主特異性が比較的緩い2種のアリヅカコオロギを用いて、アリコロニー内での行動を記録し、種間での比較を行った。その結果、アリから攻撃を受ける頻度や自力でアリ巣内の餌を摂食する頻度にて種間での統計的有意性が検出された一方、アリ体表をグルーミングする頻度や口移し給餌を受ける頻度に有意性は検出されなかった。これより、中程度の寄主特異性をもつ種は、行動生態的にも中程度の特殊化を示す可能性が示された。以上の結果はJournal of Entomological Science誌にて掲載予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Behavioral differences between two ant cricket species in Nansei Islands : host-specialist versus host-generalist2009

    • 著者名/発表者名
      Komatsu T, Maruyama M, Itino T.
    • 雑誌名

      Insectes Sociaux 56

      ページ: 389-396

    • 査読あり
  • [学会発表] 好蟻性昆虫アリヅカコオロギ属について2010

    • 著者名/発表者名
      小松貴
    • 学会等名
      第54回日本応用動物昆虫学会(応動昆)大会
    • 発表場所
      千葉大学
    • 年月日
      2010-03-28

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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