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2009 年度 実績報告書

超低振動数ラマン分光装置の開発とイオン液体の液体構造解明への応用

研究課題

研究課題/領域番号 07J06844
研究機関東京大学

研究代表者

岡島 元  東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)

キーワードイオン液体 / 液体構造 / 低振動数ラマン分光
研究概要

低振動数ラマンスペクトルの変化を0.1秒単位で高速に追跡可能な新規の分光手法を開発した。この結果をApplied Spectroscopy誌などで発表し、表紙に掲載されるなどの形で注目を集めた。この手法を用いることにより、格子振動などの分子間振動が相転移などによって変化する様子をリアルタイムに追跡することができる。さらに本年度は、この手法を用いたイオン液体融解過程の観測を行うことで、液体状態のイオン液体に見られる低振動数ラマンバンドが結晶状態からどのように生じるのかを研究した。
典型的なイミダゾリウム系イオン液体である、塩化ブチルメチルイミダゾリウムの結晶を急熱して、融解する過程の0.5秒単位での実時間観測を行った。その結果、低振動数領域に見られるシャープな複数の格子振動バンドが加熱に伴って消失し、消失に伴って幅広の低振動数ラマンバンドが生じる様子を観測することができた。この幅広のバンドは200cm-1以下の振動数領域に見られるバンドであり、液体状態のイミダゾリウム系イオン液体全般に見られるバンドと一致している。さらに、指紋領域及び低振動数領域のスペクトルを比較することにより、カチオン内部のブチル基コンホメーション変化と格子振動の消失過程とを比べることができる。その結果、内部構造変化が結晶構造の消失より遅れて起こることが明らかになった。これは内部構造を保つような結晶秩序が、融解の後期まで持続していることを意味しており、イオン液体の秩序構造に関連したものと予想している。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2009 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Fast Low Frequency(Down to 10cm^<-1>)Multichannel Raman Spectroscopy Using an Iodine Vapor Filter2009

    • 著者名/発表者名
      岡島元, 濱口宏夫
    • 雑誌名

      Applied Spectroscopy 63

      ページ: 958-960

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ヨウ素フィルターを用いた低振動数マルチチャンネルラマン分光法の開発2009

    • 著者名/発表者名
      岡島元, 濱口宏夫
    • 雑誌名

      日本分光学会誌「分光研究」 58

      ページ: 215-217

  • [学会発表] Development of New Raman Micro-Spectrometer for Measurement of Low-Frequency Region(>10 cm-1)2009

    • 著者名/発表者名
      富永正治, 岡島元, 濱口宏夫
    • 学会等名
      Annual Meeting of Spectroscopical Society of Japan
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2009-11-17
  • [学会発表] 高速(サブ秒)低振動数ラマン分光法を用いた分子結晶融解過程の動的観察2009

    • 著者名/発表者名
      岡島元, 濱口宏夫
    • 学会等名
      第3回分子科学討論会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      2009-09-22
  • [備考]

    • URL

      http://www.chem.s.u-tokyo.ac.jp/users/struct/index.html

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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