産科コホート研究(BOSHI研究)では、連続的に対象者となる妊婦を行うとともに、血圧推移について観察を行った。一般集団妊婦101名の家庭血圧の推移は妊娠週数とともに変化するとともに、季節の影響を大きく受けていた。季節要因との関連の中でも、最低気温との関連が最も強く、最低外気温が10℃低下する毎に血圧が2.5/2.5mmHg上昇した。また、夏期に出産する対象者の血圧上昇は3.1/3.0mmHgと小さかったのに比較して、冬期に出産する対象者の血圧上昇は12.8/12.5mmHgと4倍に達した。妊娠前BMIが多いほど、また、妊娠初期のインスリン抵抗性が高いほど、妊娠期間を通しての血圧レベルが高く、妊娠中期の血圧低下が減弱していた。妊婦の両親の高血圧歴は年齢・BMI等の交絡要因で補正しても妊娠期間中の血圧レベルと関連し、母子手帳から取得した妊婦の母親の血圧レベルも妊婦の血圧レベルと正に関連していた。 医療系学生コホート研究では、昨年に引き続きデーターの集積を行った。産科コホート研究と同様に、最低気温と血圧との有意な関連が確認された。 大迫コホート研究では、両親が長寿であった者ほど血圧が有意に低値であり、その関連は随時血圧に比較して家庭血圧では大きかった。家庭血圧に基づいた高血圧発症と関連する遺伝子多型が4つ同定され、発症リスクとなる遺伝子多型を有する数が1、2、3、4個と増加するにつれ、高血圧発症リスクが1.6倍、2.6倍、4.6倍、16.2倍と高くなった。
|