BOSHI研究では1年間を通じて317人の登録を行い、研究開始時より計831名の参加者となった。平成20年3月31日までに出産者した正常血圧妊婦109人を対象で、心拍数とショックインデックスは妊娠経過とともに増加して妊娠33週で最高値となり、以降は減少した。一方、ダブル・プロダクトは妊娠初期から妊娠後期までに単調に増加した。妊娠経過や季節変動が心拍数やダブル・プロダクトに及ぼす影響は、妊娠経過の影響が大きかったが、ショックインデックスは季節変動の影響が大きく、夏期に顕著に上昇した。平成21年3月31日までに出産した正常血圧妊婦258名に対象を広げ、妊娠初期の基礎特性とその後の血圧推移との関連を検討した。妊娠前に肥満であった妊婦は、妊娠時の血圧が正常レベルであっても、正常BMIの妊婦と比較し有意に高値であった。また、妊娠前にBMIが18.5未満であった群では2500g未満の低出生体重児であった割合が高かった。さらに、妊娠初期の血中インスリン濃度やHOMA指数と血圧推移との関連を調べたところ、血中インスリン濃度が高くなるにつれて、妊娠期間中の血圧レベルが高くなるばかりでなく、妊娠中期の収縮期家庭血圧低下は減弱した。 大迫研究では、遺伝子多型や親の長寿と高血圧新規発症・高血圧有病との関連を検討した。計53個のSNPsのうち、RGS2、ADD1、CACNA2D2、CATの4つのSNPが高血圧発症と有意に関連し、オッズ比は1.6倍から1.9倍、P値は0.01から0.04であった。両親の長寿は、子の成人時の高血圧と関連し、母親が69歳未満で死亡した場合、子の血圧は127.4±13.2/76.2±9.1mmHg、84歳以上まで生きていた場合には123.4±15.2/74.4±10.3mmHgで、長寿の母親を持っ子の血圧レベルは有意に低かった。父親の場合も同様であった。
|