本研究の目的は、絶対重力計を用いて高精度かつリアルタイムな火山活動モニタリングを実現することである。初年度にあたる平成19年度は、重力観測においてノイズとなる、地下水流動の問題を中心に研究を進めた。まず、浅間山近接の火山観測所において、重力と地下水の連続観測を行った。その結果、台風9号豪雨による観測所近傍の地下水量の増大、および重力値の増加が確認された。また、豪雨後は地下水の流出に伴い、観測所周辺の地下水量が減少し、それに伴って重力値も減少していることが分かった。これら一連の変動は、計算機による地下水流動シミュレーションによっても高精度で再現できることを、我々は明らかにした。すなわち、我々の地下水流動シミュレーションの方法を使えば、地下水起源の重力データを補正することができる。それによって火山活動起源の重力変化を精度よく抽出することができるので、火山噴火予知に応用できると期待される。 また、2008年からは鹿児島県の桜島において絶対重力観測を開始した。これは、最近活動が活発になっている昭和火口の活動を監視する目的である。初期解析の結果、爆発的噴火の直前に微小な重力変化が検出された。これは昭和火口までマグマが上昇したために、観測点に及ぼす万有引力の値が変動したことが原因と考えられる。桜島における重力観測は2008年度も継続して行われる予定なので、重力観測を用いた火山活動監視に努めていきたい。
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