研究課題
本研究では、身体性を活用して実世界でダイナミックな全身運動を実現できるような、生物の工学的理解による筋骨格ロボット設計論の構築および運動制御手法の提案を目指している。初年度の研究活動として、疾走・跳躍・着地といった目標タスクを実行できるロボット・ハードウェアの改良と特性解析手法の提案を行った.具体的には以下の通りである.ダイナミックな全身運動を実現するため、現状の筋骨格ロボットの改良について検討した.アクチュエータとして採用する空気圧人工筋、その電気-空気制御装置、および軽量・高剛性な骨格材料について検討した.アクチュエータについては、基礎特性の計測を行いその特性を明らかにしたほか、新しい原理に基づく空気圧人工筋の試作を行った.運動制御を実現するため、空気圧人工筋の数値制御を実現するデバイスとして比例制御弁の選定を行い、それを用いて基礎実験を行った.ロボットのより強靭な骨格を構成するため、カーボンFRPや、ラピッドプロトタイピングを用いたアルミ合金または樹脂の部品造形技術を確立した.生物規範型ロボットの設計論構築にむけて、筋骨格系の工学的な解析を行った.ヒトの身体は、回転関節で接続された直列リンク系とみなすことができる.そこで、リンク系の運動学・静力学解析の手法を適用した.筋骨格系の解析にあたり、筋と腱による拮抗駆動方式や、複数の関節にまたがって作用する多関節筋のはたらきの表現を考慮した.出力特性と剛性の特性解析手法を実際の筋骨格ロボットに適用し、跳躍や着地に必要な身体特性の解析を行った.また、計算機シミュレーションによって様々なパラメータと、それによって得られる特性の視覚化を行った.さらに、実際の筋骨格ロボットで脚の出力特性と剛性を適切に設計することで、受動的な着地の制御が可能であることを実験的に示した.
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バイオメカニクス研究(掲載確定) Vol.11,No.4(印刷中)