研究概要 |
本研究は、高等動物や陸上植物をそれぞれ含む系統群ではほぼ不可能であると考えられる「雌雄二極化の起源」を解明するための唯一のアプローチであるといえる。なぜなら、同型配偶から異型配偶・卵生殖までの進化を段階的に橋渡しする汎系統的な分子レベルの比較研究は、群体性ボルボックス目における優性生殖過程の観察と分子系統解析以外ほとんど存在しない。本研究においてはまず、群体性ボルボックス目緑藻において、クラミドモナスのような一方向的接合突起型同型配偶・単細胞緑藻とボルボックスのような卵生殖・群体性緑藻の中間段階にあると考えられる、両方向的接合突起型同型配偶・群体性緑藻ゴニウムと異型配偶・群体性緑藻プレオドリナの間で性染色体領域配列を決定、クラミドモナスおよびボルボックスの性染色体ゲノム配列データと比較する。 前年度中から始まったGonium pectoraleについてはGpMID,GpLEUIS(Hamaji et al.2008 Genetics)、Pleodorina starriiについてはPlesMID(Nozaki et al.2006 Curr.Biol)を用いたクロモソーマルウォーキングとショットガンシーケンシングが継続中である。現時点で、G.pectorale minusでは400kb、plusでは200kb、Pl.starrii maleでは100kbの配列が決定されている。また計画通り、同型配偶Yamagishiella unicoccaのプラス型とマイナス型それぞれの株についてBACライブラリを米国Clemson University Genome Instituteに製作を委託した。2009年2月に、順次これらのBACライブラリが完成・到着し、現在、Y.unicocca minusにおいて、性決定遺伝子領域をターゲットとするプローブであるMID遺伝子配列を用いて解析を開始している。
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