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2008 年度 実績報告書

動作の時系列的規則性獲得の認知メカニズム:鳥をモデルとした研究

研究課題

研究課題/領域番号 07J07732
研究機関総合研究大学院大学

研究代表者

相馬 雅代  総合研究大学院大学, 葉山高等研究センター, 特別研究員(PD)

キーワード性淘汰 / 歌学習 / 発声学習 / 発達 / 鳴禽類
研究概要

ジュウシマツのような晩成性鳴禽類は,身体形質や行動形質,認知機能への初期発達コンディションの影響が著しい.特に鳴禽類オスにおいては,求愛歌を発声学習によって発達初期に獲得し,歌形質は繁殖成功に大きく影響することから,歌獲得に関わる個体発生要因に対して性淘汰圧が作用してきただろう.またメスにとっても,繁殖に関する投資配分は子の適応度と大きく結びつくため,オス歌に対する選好がメスの繁殖投資に影響している可能性は高い.このような見地からこれまでに行ってきた研究により,本年度までに以下の(1)〜(3)のような成果を得ることができた.
(1)ジュウシマツ雛は,一腹内での産卵順が早い卵に由来する個体ほど,より複雑な歌を学習していることが分かった.このことは,卵に対する母鳥の栄養投資が,歌学習に関わる神経発達に寄与していることを示唆する.
(2)ジュウシマツ雛は,父親の歌の質が低い時には,他の成熟オスからも歌を学習しようとする傾向を示した.このことは,雛の歌学習がモデルとなる成熟オスの歌の「質」に基づいており,性淘汰圧によって「質」のより高い歌を学習するような行動戦略が進化してきたのではないかと考えられる
(3)母鳥は,オスの歌形質に応じて,産卵に関する投資を調節していた.オスの身体コンディションの指標となる歌のバウト長が長いほど,卵サイズは大きく,孵化雛の性はオス(育雛にコストがよりかかる性)である傾向が高かった.よって,好ましいオスとつがった時にメスは,繁殖投資を増大させているといえるだろう.
これらのうち,(1)については論文として刊行され,(2)(3)各々については国際学会および国内学会において発表を行った.とりわけ学会誌に発表された(1)の研究内容に関しては,個体発生の非常に初期の効果がのちの認知発達に影響を与えることを示唆しており,Nature誌からの取材を受けてオンライン版に記事が掲載されるなど,高い注目を集めた.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Early ontogenetic effects on song quality in the Bengalese finch (Lonchura striata var. domestica) : laying order, sibling competition, and song syntax2009

    • 著者名/発表者名
      Soma, M., Hiraiwa-Hasegawa, M., Okanoya, K.
    • 雑誌名

      Behavioral Ecology and Sociobiology 63

      ページ: 363-370

    • 査読あり
  • [学会発表] ジュウシマツの性淘汰と母性効果?オス歌の魅力度は卵への繁殖投資にどう影響するか?2008

    • 著者名/発表者名
      相馬雅代, 長谷川眞理子, 岡ノ谷一夫
    • 学会等名
      日本動物行動学会第27回大会
    • 発表場所
      金沢大学
    • 年月日
      20080924-20080926
  • [学会発表] Strategic song lerning in the Bengalese finch : how chicks learn to sing attractive songs2008

    • 著者名/発表者名
      Soma, M., Hiraiwa-Hasegawa, M., Okanoya, K
    • 学会等名
      International Behavioral Ecology Congress
    • 発表場所
      コーネル大学
    • 年月日
      2008-08-13

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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