研究課題
白化耐性サンゴ種Goniastrea aspera骨格内から分離培養法を用いて、極限環境耐性シアノバクテリアの単離に成功した。また、富栄養な環境に比べ、貧栄養な環境に生息するG.aspera骨格内の微生物層はシアノバクテリアマットに酷似していることが分かり、宿主サンゴと共生関係にあることが示唆された。Acropora digitiferaを用いた実験では、高栄養塩に暴露した状態で、塊状サンゴと同様に骨格内微生物を有する、無節サンゴ藻がサンゴに近接して存在することで有益な影響を与えることがわかった。またRT-PCRを用いた測定から、無節サンゴ藻の骨格内で硝化酵素と脱窒酵素のmRNAの発現が観察された。これはサンゴにとって骨格内微生物群集が必要不可欠であることを示すとともに、サンゴ藻のバイオリメディエーターとしての役割を示唆する結果となった。沖縄県備瀬崎で2年間にわたり骨格内微生物が感染したAcroporidサンゴをコドラート法を用いてモニタリングをおこなった結果、2年前には非感染Acroporidサンゴは290群体で、感染群体は27群体であった。それが、2年後には非感染群体は112群体まで減少したのに対し、感染群体は21群体と減少率が少なかった。両者の生存率を比較すると非感染群体が39%であるのに対し、感染群体では78%と高い値を示した。これらの結果から、研究計画の3年目の目標であるフィールドへの還元につながる結果を得られたと言え、造礁サンゴ骨格内の微生物群集は造礁サンゴの生存率を上昇させる、褐虫藻に次いで第二の共生体であると言うことができるだろう。
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Proceedings of the 11th International Coral Reef Symposium, Ft.Lauderdale, Florida, July 2008
ページ: 265-268
Aquacultural Engineering 41
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Galaxea (In press)