ユビキタスの考え方は空間的な側面が強く、コンピュータやネットワークシステムの普及に大きな貢献をもたらした。一方、生活者がその中でどのような生活をするかという点での設計は不十分である。そこで本研究は、時間の側面から人の生活に適合する時間指向インタフェースデザインを提案する。時間指向インタフェースデザインは、具体的にはすき間時間、待ち時間、ながら時間、などこれまで人が工夫して利用してきた時間をインタフェースデザインに取り込み、生活者がスムーズに情報機器ヘアクセスできる環境を実現するものである。 本研究は、現在社会を主導するユビキタスの考え方の不十分な点を指摘し、近年注目されている「人間中心設計」や、情報爆発などの問題を取り込みつつユビキタス社会を考察した。そこから、さまざまシステムを試作し、体験可能な状態として学会や社会に提案した。さらに、時間指向インタフェースデザインという、これらの試作を体系化した。したがって、採用テーマタイトルであった「ユビキタス社会におけるヒューマンインタフェースの再構築」に相応しい、次世代のヒューマンインタフェースデザインのヴィジョンを提示する成果となった。本研究の中の提案とシステムは複数の学会での受賞し、本提案を他の多くの研究者も認めたものとして考えることができる。
|