植物の情報伝達においては受容体様キナーゼ(receptor-like kinase; RLK)が重要な役割を果たしている。その約半分がリガンドを認識する細胞外のドメインにロイシンリッチリピート(Leucine-rich repeat; LRR)を有しており、ロイシンリッチリピート受容体様キナーゼ(LRR-RLK)と呼ばれている。しかし、このLRR-RLKはまだ不明な点が多く、大部分のLRR-RLKのリガンドが不明であり、リガンドが既知のLRR-RLKもそのリガンドをどのように認識し、シグナルを伝達するのかという生化学的性質もほんど不明である。 これらのことを明らかにするためには、LRR-RLKタンパク質を短時間で、安定して提供できる発現系が必要となる。そこで、私たちは、LRR-RLKの1つであるトマトの受容体tBRI1/SR160の発現を、大腸菌、酵母、植物培養細胞BY-2で検討した。発現させたtBRI1/SR160と既知のリガンドとの結合を調べなところ、結合を示唆する結果が得られた。今後、この結果を確認すると共に、変異体を作成し、結合部位を同定したい。 また、LRR-RLKのリガンドを同定するためには、LRR-RLKを網羅的に発現させる必要がある。そのためには、LRR-RLK遺伝子を簡単に効率よく、発現ベクターにクローニングする方法が不可欠である。そこで、植物ベクターに目的遺伝子を簡単に効率よくクローニングできる方法を開発し、論文にまとめた。
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