研究概要 |
本年度は研究期間の最終年度であることから、本研究課題の到達点としての博士論文の執筆を主に進めながら、これまでの研究成果を国際学会や主要な学術雑誌を通して積極的に公表した。 まず、前年度において『地理学評論』(日本地理学会)に投稿した「神戸市既成市街地における阪神・淡路大震災前後の居住者特性の変化-自己組織化マップ(SOM)による時空間データの類型化と可視化-」については、査読者の意見に基づき再構成したのち、「自己組織化マップ(SOM)を利用した神戸市既成市街地における阪神・淡路大震災前後の居住者特性の変化に関する研究-時空間データの類型化と可視化-」と改題して、論説として受理された(2009年11月、掲載は2010年3月)。この論文は、小地域単位による居住者特性の短期的な時空間変化を、SOMによって類型化および可視化するものであり,SOMの都市地理学研究に対する有用性も示された。 一方で、前年度の「Historical GIS Conference 2008」において発表した、明治末期の京都に関する小地域統計を活用した研究をさらに発展させ、明治末期から現代に至るまでの長期的な京都の居住地域構造の変遷を、自己組織化マップ(SOM)による小地域単位の居住者特性の類型化によって明らかにした。この研究成果は、2009年8月に開催された国際学会「14th International Conference of Historical Geographers」にて発表し、さらに、『Japanese Journal of Human Geography』(人文地理学会)にも掲載された(2009年12月)。 SOMをもとにした小地域単位による地域の類型化手法を利用した、2つの実証研究の蓄積により、地理学的研究に対する本手法の有用性は十分に示されたといえる。なお、博士論文については、「小地域単位による地域の類型化手法に関する地理学的研究」と題して2009年11月に立命館大学に提出し、2010年3月31日に学位(博士(文学立命館大学))を取得した。
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