研究概要 |
今年度は,植林前後での炭素動態を把握する上で重要となる土壌の炭素動態について,(1)西オーストラリア現地にて広域での土壌サンプリングを実施し,採取した土壌サンプルおよび塩湖での土壌呼吸ガスについて分析を行った,また,これまでの調査結果に基づき,(2)現地森林生態系の炭素動態解析のためのフレームワークを作成し,現地森林生態系の炭素収支について推算を試みた。 (1)西オーストラリア現地での土壌の炭素動態調査では,調査対象地域内の土壌炭素動態を把握するために,森林の林間閉鎖度別に9サイト,および流域・塩湖で5サイト,計14サイトを設定し,土壌サンプリングを行った。現在分析中であるが,現地土壌炭素動態の解析には,有機炭素だけでなく無機炭素の動態も考慮する必要があることがわかってきた。裸地土壌においては,林地同様,多くの土壌炭素が蓄積されている可能性があることがわかった。また,流出したリターの一部が流れ込む塩湖にて,土壌呼吸を測定した結果,土壌呼吸成分に二酸化炭素とともに二酸化炭素の20倍の温室効果をもつメタンが検出された。 (2)これまでの調査結果に基づき,現地森林生態系全体のリター・土壌炭素動態を解析するためのフレームワークを作成した。また,広域での土壌・リター炭素収支の概算を行い,精度はともかく現地の炭素動態についておおよそのストックとフロー明らかとした。推算精度については,今後,採取したサンプルの分析を進め,データを蓄積することによって,向上させることができると考えている。
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