研究概要 |
今年度は,(1)西オーストラリア現地にて自然林,塩湖,植林試験区でのリター・土壌サンプリングを行い,炭素動態に関するデータを蓄積した。また,(2)森林の疎密さを表す林間閉鎖度をパラメータとした土壌炭素量の推算方法を検討した。さらに,(3)林床のリターモビリティに関する試験結果をもとに,昨年度構築したリター炭素動態モデルに改良を加えた。また,(4)塩湖での土壌呼吸測定結果を解析した。 (1)昨年度に引き続き,自然林と塩湖にて土壌サンプリングを行った。また,植林前後の炭素増加量を把握するために,植林試験区にてリター・土壌を採取した。調査結果を解析した結果,植林試験区においても自然林と同様にリターが流出していることが示唆された。 (2)森林の疎密さを表す林間閉鎖度をパラメータとした土壌炭素量の推算方法を検討した。解析の結果,各森林の土壌炭素量と林冠閉鎖度の間には相関関係が見られ,その関係式は線形の回帰式で表された。また,得られた推算式と対象地内の林冠閉鎖度分布をもとに土壌炭素量を推算し,対象地の土壌炭素量のベースラインをおおよそ明らかにした。 (3)林床のリターモビリティに関する現地試験を解析した結果,枝のモビリティは,葉に比較しておおよそ1/5低いことがわかった。また,解析結果に基づき,葉と枝のモビリティの差をパラメータとしてモデルに組み込み,リター炭素動態モデルを精密化した。 (4)現在,解析途中ではあるが,塩湖土壌からのCO_2フラックスは,地温の上昇にともない増大することが示唆された。一方,CH_4フラックスは土壌水分率との間に相関が見られ,水分率が低いと吸収,高いと放出側にシフトすることがわかった。
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