共進化遺伝子システムのモデルとして、自家不和合性機構、miRNAによる遺伝子発現制御機構を用いたデータ解析を行った。 アブラナ科Brassica属植物の自家不和合性関連遺伝子周辺領域の塩基配列を用いて、この領域で組換えが起こってきた事を証明た。現在まで、他の植物では組換えが検出されておらず、自家不和合性関連遺伝子を含む複数の遺伝子が共進化していると考えられきた。このため、自家不和合性関連遺伝子周辺領域では有害遺伝子の蓄積が示唆されてきたが、Brassica属植物では組換えが有害伝子の蓄積を排除している可能性を提示した。 Brassica属植物の自家不和合性関連遺伝子において、直接自家不和合反応を司るSRKと機能を持たないパラログSLGで遺伝子変換起こってきた。この遺伝子変換が新たな遺伝的多様性を生み出し、機能を持たないSLGの重要性を高めている事をシミュレーションより明らかにした。 シロイヌナズナのmiRNAが遺伝子重複によるコピー数の増加を介してどのように進化してきたかを調べた。シロイヌナズナには25のmiRNAシステムがあり、そのコピー数はシステムによって大きく異なっていた。コピー数が少ないmiRNAシステムは複数の遺伝子機能を制御していた。一方コピー数が多いmiRNAシステムは単一の遺伝子機能を制御していた。つまり、制御パターンが単純な初期のmiRNAシステムは複数の機能を制御しうるが、遺伝子重複を介して複雑化していくと、単一の機能の制御に最適化されて進化していた。
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