研究概要 |
レーザー発振の実現には,電子温度100-200eV,粒子数密度10^<21>cm^<-3>程度高温高密度なピンチプラズマを生成する必要があり,要求される放電電流はおよそ500-100kAである。また,ピンチプラズマの急速な冷却も求められ,波高値50kA-100kA,立ち上がり30nsでその後急に電流が下がるような放電電流パルスを得ることを試みた。実験装置は,LC高電圧発生器,昇圧トランス,水コンデンサ,ギャップスイッチとキャピラリーから構成される。目標の電流を得るためには,水コンデンサーで0.5-1MVまで充電電圧を高くし,放電部のインダクタンスを十分低くし,水コンデンサーをPFLとして機能させる必要がある。そこで,0.5-1MVの充電が可能とするために,昇圧トランスの絶縁耐圧の強化を行った。トランス2次側巻き線間の沿面距離を長くし,大気中において,充電電圧200kVにおける放電では異常がないことを確認している。そして,放電波形制御のため,放電部のインダクタンスを極力低くするための放電部の設計を行った。絶縁板を有効に使用し,さらに,スイッチ部分に3気圧程度のSF_6絶縁ガスを封入できる構造とし,ギャップスイッチの空間を狭め,キャピラリー部もコンパクトな構造にすることで,従来の半分以下の100-150nHへとインダクタンスを下げることに設計上成功し,放電部の製作に移った。さらに,今後の実験を効率良く進めるために,MHDコードの製作を進めた。最大ピンチ前までのプラズマの動きを計算し,共同研究を行っているチェコのブルバらの計算結果と類似の結果を得た。そして,作成中の放電システムを用いて,5×10^<21>cm^<-3>程度のプラズマを生成できることが示された。また,計算では,急激な電流の立下りによって,プラズマに染み込んだ磁場がが数nsで消え得ることも確認し,実験で放電波形制御を試す価値を見出した。
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