平成20年度は非線形誘電率顕微鏡で測定可能な有機・生体材料の探索、および非接触走査型非線形誘電率顕微鏡の開発を行った。 前年度に引き続き音さ型水晶振動子を用いた非接触走査型非線形誘電率顕微鏡の開発を行ったが、非接触状態では材料からの静電容量変化を検出することができなかった。これは音さ型水晶振動子の振動によって静電容量を検出できるほど試料の近くに探針を近づけることができなかったためであると考えられる。 水晶振動子を用いた非接触走査型非線形誘電率顕微鏡は正常に動作できなかったので、非接触原子間力顕微鏡の追跡走査機能を用いた非接触走査型非線形誘電率顕微鏡の開発を行った。追跡走査機能は試料の同一の場所を2回走査する機能で、1回目の走査は非接触原子間力顕微鏡の機能で試料表面の形状を計測し、2回目の走査は1回目で計測した形状を追跡する。この2回目の走査のときに、探針の振動を止め、静電容量変化の測定を行う装置を開発した。結果として装置の開発に成功したが、探針・試料間の接触・非接触の制御が甘く、非接触走査型非線形誘電率顕微鏡として動作しなかった。 以上の結果から、間欠接触型非線形誘電率顕微鏡をもちいて有機生体分子の計測を行い、自己ドープ型ポリアニリンの計測を行った。
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