研究概要 |
本研究では,能動制御を用いた高効率・低環境負荷燃焼器を実現するために,燃焼モニタリングセンサー,制御デバイス及び燃焼制御アルゴリズムを総合的に開発することを目的とし,レーザ複合計測法を用いて受動的に制御された乱流予混合火炎の火炎構造や乱流構造,それらと燃焼器内圧力変動及び燃焼騒音との関係を明らかにすると共に,半導体レーザ吸収分光センサーの情報と火炎構造等の関係を明らかにし,能動制御アルゴリズムの構築を行う.さらに構築した制御アルゴリズムと半導体レーザ吸収分光センサー及び制御デバイスとして二次燃料噴射を用いて,モデル燃焼器における能動制御実験を行い,乱流燃焼場の能動制御技術を確立する.平成20年度は主に制御用の燃焼モニタリングセンサーを確立するために,これまでに開発した半導体レーザ吸収分光センサーの高精度化に重点を置いて研究を行った.これまで採用してきた直接吸収分光法を波長変調分光法の一種である2f検出法へ拡張するために,現有のロックインアンプの周波数帯域を向上させるロックインアンプ周波数エクステンダを導入し,恒温水蒸気セルにおいて半導体レーザ波長変調分光センサーの温度校正実験を行うと共に,その精度を確認した.構築された半導体レーザ波長変調分光センサーを以前の研究において二次燃料噴射によって圧力変動とNOx排出量が同時に低減されることが確認されているスフール型燃焼器に適用し,燃焼器内の圧力変動と再循環高温流体の温度計測を同時に行った.その結果,スワーラ出口に近い領域の温度変動の情報から圧力変動や燃焼騒音特性を予測可能であると共に,温度変動の周波数解析から燃焼器内の圧力振動特性を予測可能であり,波長変調分光法を用いた半導体レーザ吸収分光センサーが制御用の燃焼モニタリングセンサーとして有効であることを明らかにした.
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