環境問題への関心の高まりから、様々な機能性材料の低環境負荷合成法の開発が活発に行われている。特にガラス材料は、その製造過程で1000℃以上の溶融プロセスは不可欠であり、全く新しい合成法による、機能性ガラス材料の低温合成法の確立は火急の課題の一つである。通常、低温合成による有機-無機ハイブリッドガラスはゾルーゲル法により作製される。しかしながらゾルーゲル法ではゲル化あるいは乾燥過程において大きな体積収縮を伴い、成形性が悪くポーラスな構造が出来易いといった欠点があり、フォトニクス材料として重要となる寸法安定性や均一性を得ることが困難である。本研究では、酸塩基反応やアルコール縮合による低温無溶媒反応を用いた種々の有機-無機ハイブリッド材料の開発および光学素子への応用研究を行っている。本手法では作製に溶媒を用いないため溶媒蒸発に伴う収縮や割れが発生しないことから、光学材料に適する均質な材料の作製が期待できる。本研究では本材料の特長を利用し、微小光学素子の表面修飾を目的とした機能性コーティングとしての可能性を検討した結果、レーザーによる干渉光を照射することで素子表面nm-・mサイズの規則的周期構造を形成することに成功した。また周期構造形成の領域は非常に微小であることから一般的なディップコーティングは使用できず、新たにマイクロコーティング装置の作製を行った。 光を利用した微細構造形成を素子表面に形成することで新たな機能を持つ光波制御デバイスへの応用が期待できる。
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