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2009 年度 実績報告書

赤外分光法によるロドプシンの情報伝達機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 07J11731
研究機関名古屋工業大学

研究代表者

川鍋 陽  名古屋工業大学, 工学研究科, 特別研究員(PD)

キーワード生物物理 / ロドプシン / レチナール / 光受容 / 光合成 / プロトンポンプ / イオン輸送 / 海洋性細菌
研究概要

本研究では光センサーと考えられているAnabaena sensory rhodopsin (ASR)を対象にして、ロドプシンが機能を発現するための構造変化の解析および、新規機能の開発を目的としている。さらに、ASRではないが類似のタンパク質を対象にNative状態での機能測定にも挑戦した。本年度の研究成果の概要を以下に記述する。
1.新規機能の開発にあたって、もともとプロトンポンプ活性がないと報告されているASRをもとに、外向きのプロトンポンプ機能を持たせようと試みたが、未だに実現していない。しかし、研究の過程で驚くべきことに細胞質側膜表面付近の、Asp217をGluに置換することで、ASRは通常とは逆の内向きのプロトン輸送を実現した。この成果は化学誌の最高峰であるJACS誌に掲載され、神経生理学や薬などへの応用が期待されている。また、発展形として、よりプロトン輸送活性が高いタンパク質の開発を試みた。注目したのはプロトンの輸送経路上に存在するSer214である。この残基をAspに置換したところ、狙い通りプロトン輸送活性が大きく上昇した。これは応用研究への活用の幅が広がる結果であると考えている。
2.これまでの古細菌以外から発見されたロドプシンの研究では、大腸菌で発現させて機能を評価しているため、in situで実際に機能しているのか不明であった。そこで私は、東京大学海洋研究所の木暮教授吉澤博士との共同研究で10年ほど前に発見されて、広く知られているProteorhodopsin(PR)を対象にin situでの機能解析を行った。その結果、Nativeの海洋性細菌において光駆動プロトンポンプとしてPRがはたらいていることを確認した。これは、海に広く存在する海洋性細菌の光利用のエネルギー産生において、クロロフィルの光合成系ではなくレチナールタンパク質を利用していることを示唆している。これまでレチナールタンパク質をエネルギー産生に活用しているのはごく少数の古細菌のみと考えられてきたが、今回の成果はこれまでの常識を覆す可能性がある。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Importance of Alanine at Position 178 in Proteorhodopsin for Absorption of Prevalent Ambient Light in the Marine Environment.2010

    • 著者名/発表者名
      Yamada, et al.
    • 雑誌名

      Biochemistry 49

      ページ: 2416-2423

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Engineering an Inward Proton Transport from a Bacterial Sensor Rhodopsin2009

    • 著者名/発表者名
      Kawanabe, et al.
    • 雑誌名

      J.Am.Chem.Soc. 131

      ページ: 16439-16444

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Photoreactions and Structural Changes of Anabaena Sensory Rhodopsin2009

    • 著者名/発表者名
      Kawanabe, et al.
    • 雑誌名

      Sensors 9

      ページ: 9741-9804

    • 査読あり
  • [学会発表] センーロドプシンを用いたプロトンポンプ研究2010

    • 著者名/発表者名
      川鍋陽
    • 学会等名
      分子研研究会「拡がるロドプシンの仲間から"何がわかるか""何をもたらすか"
    • 発表場所
      岡崎
    • 年月日
      20100323-20100324
  • [学会発表] 古細胞型ロドプシンの新奇情報伝達機構の解明と光応答性カリウムチャネルの開発-高効率のプロトン輸送を目指したセンサーロドプシンの変異体研究-2009

    • 著者名/発表者名
      川鍋陽
    • 学会等名
      特定領域「細胞感覚」平成21年度冬の班会議
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      20091223-20091224
  • [学会発表] プロトンポンプを目指したハセクテリアのセンサーロドプシンの変異体研究2009

    • 著者名/発表者名
      川鍋陽
    • 学会等名
      日本生物物理学会第47回年会
    • 発表場所
      徳島
    • 年月日
      20091030-20091101
  • [学会発表] 古細菌型ロドプシンで実現した内向きのプロトンポンプ2009

    • 著者名/発表者名
      川鍋陽
    • 学会等名
      第36回生体分子科学討論会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      20090619-20090620

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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