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2007 年度 実績報告書

チューダー朝初期年代記の形態と機能-ジョン・ラステルの書物文化史的考察

研究課題

研究課題/領域番号 07J11796
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

原島 貴子  慶應義塾大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)

キーワード英文学 / 中世後期歴史 / 近代初期歴史 / 人文主義(ヒューマニズム) / 印刷活字文化 / チューダー朝年代記 / 書物史
研究概要

英国初期印刷業者ジョン・ラステルが執筆・出版を手がけた年代記The Pastyme of People(1529-30)を中心に、チューダー朝初期年代記の視覚要素(挿絵・レイアウト)の研究を進めた。ラステルの年代記に特徴的な視覚要素と影響関係の可能性のある資料を取り扱う準備として、年代記の形態と機能の問題をより仔細に考察するための数種の基礎調査(原本についてのデータ収集のための海外出張調査を含む)を進めた。基礎調査から得られたデータを用いて、(1)ジョン・ラステルというチューダー朝初期の人文主義者一個人の思想傾向の問題と、(2)ラステルを含むチューダー朝初期の知的階層の人々が「歴史」を時間と空間のどのような軸で以って再構築していたのかという両見地に立って、歴史叙述の編成・視覚化の手法の解明へ向けての考察を行い、成果をまとめた。具体的な成果発表は、2007年度受理された学術論文は二本(『藝文研究』及びJournal of the Early Book Society,略称JEBS)、関連の研究発表も一本(藝文学会)行った。ラステルの年代記と16世紀に大陸で印刷された人文主義者の歴史書、さらに15世紀に英国内で人気を博した写本(巻子本)年代記との直接の関連の有無、さらに三者に共通して見られる'genealogy'(「血統図」)としての形態の特徴について考察した論文(JEBS,2008年6月刊行予定)は、歴史叙述における視覚要素利用の中世以来の伝統が印刷文化の時代にどのように受容・変容されたかという比較的新しい研究領域を扱い、問題提起をした点に意義が認められる。具体的な一次資料調査結果を、文学・歴史・書物文化史の領域横断的視点から分析する手法が、歴史書の形態と機能に関する諸問題の検討に有用であることを示したと言えよう。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2008 2007 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] The Narrative Functions of John Rastell's Printing: The Pastyme of People and Early Tudor "Genealogical" Issues'2008

    • 著者名/発表者名
      Takako Harashima
    • 雑誌名

      Journal of the Early Book Society: For the Study of Manuscripts and Printing 11(予定)

      ページ: 43-86

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 「宗教改革下の英国における平信徒の信仰と印刷テクスト-ウィリアム・ラステルとその時代」2007

    • 著者名/発表者名
      原島貴子
    • 雑誌名

      『藝文研究』 93

      ページ: 1-18

    • 査読あり
  • [学会発表] 「宗教改革下の英国における平信徒の信仰と印刷テクスト-ウィリアム・ラステルとその時代」2007

    • 著者名/発表者名
      原島貴子
    • 学会等名
      藝文学会
    • 発表場所
      慶應義塾大学
    • 年月日
      2007-06-29
  • [備考] 慶應義塾大学図書館'Digital Gallery of Rare Books & Special Collections'より'004 Fasciculus temporum'の解題執筆

    • URL

      http://project.lib.keio.ac.jp/dg_kul/incunabula_detail.php?id=004

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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