研究概要 |
本年度は,非ホロノミック拘束をもつ超冗長機械システムであるヘビ型ロボットを対象として,平面環境における動力学モデルの導出と冗長性の特徴の解析,これを利用した制御則の提案,シミュレーションによる検証を行った.さらにアプリケーションとして,複数台が協調して物体を運搬する協調制御における新たな冗長性の利用法の提案や,環境を曲面に拡張した円柱環境におけるヘビ型ロボットの運動学モデルの導出と制御則の提案を行い,シミュレーションにより制御則の有効性を確認した. ヘビ型ロボットは,生物のヘビが行っているように体幹の一部を宙に浮かせ,接地点を動的に変化させながら推進する場合,可変拘束機能をもつ超冗長機械システムとして扱う必要がある.このようなシステムは拘束状態によって対象のダイナミクスが変化するため,各拘束状態におけるダイナミクスや冗長性の特徴の解析を行った.まず動力学モデルを導出し,冗長性が運動に及ぼす影響を解析することで冗長性の特徴を明らかにした.これにより先頭の浮上リンクは後続の浮上リンクの影響を全く受けないということがわかった.このような冗長性の特徴をうまく利用することで,従来はトレードオフとなっていた複数のサブタスク,例えば可操作度増大化と特異姿勢の回避を同時に実現する制御則を新たに提案した.そして計算機シミュレーションによりその有効性を確認した.協調制御においても冗長性を利用することで対象物の把持を維持するように接触力を制御する方法を提案した.また,環境を平面から円柱曲面に拡張した場合の運動学モデルの導出を行い,冗長性を利用することで軌道追従制御則の提案とシミュレーションによる検証を行った.その結果,円柱曲面環境においても特異姿勢回避に関する評価関数を増大化することで,平面環境の場合と同様に自然にうねり運動が発生することがわかった.
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