研究概要 |
本年度は,主にキャメラワークと構図決定のリアリティ向上の点に関して,下記の3点に関して重点的に研究を行った. ・1点目は,キャメラワーク・オーサリングツールの可視化法の改良である.昨年度までのMR合成用システムでは,撮影時のキャメラ移動量,パン・ティルト量をCG空間で再現表示を行うことのみを行っていたが,本年度はよりユーザにとって理解しやすくするため,意図,撮影方法,構図といった数値的に表しにくいものを記録しておき,可視化することを行った.そのため,定性的キャメラワーク要素を新たなキャメラワーク要素として提案し,意図,撮影設備,構図,被写体等の情報を含めることとした.また記録された定性的キャメラワークは高度に抽象化された映像撮影を再現可能な記述をめざすものであるので,その抽象化の妥当性の検証のため,それら記述を入力とする半自動キャメラワーク生成ツールを開発した. ・2点目は,本オーサリングツールのHD24p形式への対応である.HDカメラとしてSONYのHDW-F900Rを導入し,合成用のタイムコードを24fpsに対応させ,システムをHD24pに対応させ,リアルタイムの24fpsでの映像の確認,CWML記述とRAIDに格納されたHD映像を用いたオフラインレンダリングによるHD24p映像の生成を実現した. ・3点目は,キャメラ位置姿勢推定手法の研究である.映画撮影のリハーサル時に計測した撮影現場の幾何情報を利用し,人工マーカによるシーンの情景を損ねない,画像認識を用いたモデルベース位置あわせ手法の開発に着手した.屋外で6自由度の位置あわせの実現の前に,その前段階として,研究室内に設けられた撮影用ミニチュアセットによる位置あわせ実験を行った.ミニチュア撮影時に得られる画像中のエッジの追跡とミニチュアの幾何モデルのワイヤーフレームモデルとの比較による位置あわせ手法,ミニチュアを捉えた映像中の特徴的なテクスチャの追跡による位置あわせ手法の開発に着手した.
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