新しい光学設計である変位雑音・周波数雑音フリー干渉計(DFI)は、複数の干渉計を組み合わせ、干渉計の光学要素からくる雑音をすべてキャンセルさせるというタイプの重力波検出器である。本研究で構築するDFIは4台のMach-Zehnder干渉計(MZI)を3次元に組み合わせ配置した光学設計となる。本年度に行った研究は、DFI原理検証実験として、4台のMZIのうちの2台をぬきだし、平面にやきなおした光学設計で、ビームスプリッターの変位をキャンセルさせる実験である。ビームスプリッターの変位をシミュレートするためには、ビームスプリッターのマウントに直接ピエゾアクチュエーターを取り付けた。ピエゾアクチュエーターで与えられる変位が1kHz以下なのに対し、この干渉計サイズで重力波が生き残るのが数百MHz帯域であるため、今回の実験では重力波はシミュレートしなかった。実験の結果、2台のMZIの出力信号を引き算することによって、変位信号が約30dB減衰することを確認した。本実験結果は、シドニーで行われた国際会議で発表した(ポスター発表)。さらに次のステップとして、完全な3D設計のDFI構築にとりかかった。今のところは4台のうち2台、つまり一台のbi-directional MZIを稼動させ、ミラー変位がキャンセルすることを確認した。ミラーの変位は、光路の中点にEOMを入れてシミュレートした。結果、2台の干渉計の信号を引き算することによって変位信号が減衰することが確認された。これは以前行った平面の光学設計での原理検証実験で確認されていた結果をほぼ再現するものである。今後、もう一組のbi-directional MZIを構築し、ミラー・ビームスプリッターすべての変位がキャンセルされることを確認する。また、重力波信号はある周波数ではキャンセルされないことも確認する。
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