研究概要 |
加齢に伴い免疫機能が低下することはよく知られているが、その詳細な機序は未だ明らかにされていない。現在加齢に伴う獲得免疫応答低下におけるzizimin2の機能解析を進めており、これを報告する。 我々がマウスの脾臓胚中心B細胞から単離同定したzizimin2はCDM(CED-5、DOCK180、Myoblast city)ファミリーの1つであるziziminファミリーに属し、CZH2ドメインを介してRho family GTPase,cdc42に結合し活性化させる新規のグアニンヌクレオチド交換因子である。またcdc42は低分子量Gタンパク質分子であり、細胞極性、遺伝子発現、細胞周期、細胞接着などに関与することが知られている。免疫老化との関連を調べるために免疫担当細胞での発現比較についてリアルタイムPCR法を用いて比較検討を行った。その結果、若齢マウス(3ケ月齢)の抗原刺激後の脾臓細胞でzizimin2の発現が上昇し、老齢マウス(24ケ月齢)では抗体産生応答の低下とともにその発現が著しく減少していることを見出した。この結果からzizimin2が加齢に伴う免疫応答の低下に関与していることが示唆された。さらに生化学的な機能解析を進めるために我々はzizimin2を特異的に認識するモノクローナル抗体の作製を行った。ELISA法によるスクリーニングよりzizimin2のCZH2ドメインに特異的な抗体(214)とzizimin2とzizimin1のCZH2ドメインに反応する抗体(126)を得た。214抗体はウェスタンブロッティングと免疫組織染色において強制発現させたzizimin2と内在性のzizimin2の両者を認識する。293T細胞にzizimin2の全長を強制発現させたところ、フィロポディアの形成が観察され、zizimin2が細胞内と細胞膜に局在することが明らかとなった。
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