本研究課題では、プローブ、チューブ、回路を一体化したスマートセンサチップを提案してきた。これは、神経電位からの信号計測、薬理応答、信号処理などを一つのデバイスで実現しようと提案したものである。本年度得られた成果は、まずこのスマートセンサ構造を実現し、それらの諸特性を解明したことである。これらの結果は、今後の応用への基礎データとなった。特に今回提案するチューブ構造及びサイズはこれまでに報告されておらず、その特性を明らかにするだけでも十分重要なものであった。さらにチューブ径に依存した溶液の吐出特性をも明らかにした。実際に本チューブを用いて、ラットの坐骨神経に薬を注入し、神経電位の観察まで行った。本結果より、本デバイスが目的とする神経電位解析用ツールとして十分応用可能であることを示唆した。また本デバイスは非常に微小であるため、細胞への刺入の際の機械強度も解析し、刺入型デバイスとして脳・末梢神経・筋肉などにも十分耐えうるものであることも同時に確認した。本年度得られた成果より、来年度これらの基礎データを応用したスマートチップ実現を目指す。
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