本年度は主にBrevibacterium sp. KU1309の酸化酵素系の酵素学的解析、遺伝子解析を行った。これはBrevibacterium sp. KU1309株そのものを用いたアルコール酸化反応をさらに効率的に行うためには必要不可欠な基礎研究となる。種々の検討の結果、本微生物はアルコール脱水素酵素・アルデヒド脱水素酵素、そしてNADHオキシダーゼという3つの酵素を有することがわかった。そこで、これら3つの酵素の精製・酵素学的解析を行った。アルコール脱水素酵素、アルデヒド脱水素酵素は様々な基質を酸化できる汎用性の高い酵素であった。またNADHオキシダーゼは高い安定性と広いpH範囲で活性を有するなどその応用分野に期待できる性質を有していた。また当該年度はアルコール脱水素酵素・アルデヒド脱水素酵素の遺伝子解析も行った。この結果、新規のアミノ酸配列の同定に成功した。現在の生命情報データベースはシークエンスデータは豊富になってきているが、それに対応したタンパクの性質は十分とは言い難く、本研究で得られた基礎データは今後、酵素学の分野におけるデータベース利用に寄与するものと考えられる。
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