研究課題
研究代表者(煎本孝)は、平成8年7月19日〜8月30日に、国外研究分担者である全福氏、および研究協力者であり内蒙古自治区出身の北海道大学大学院生である阿拉騰氏とともに、中華人民共和国内蒙古自治区においてモンゴル文化の実地調査を行った。研究協力者である阿拉騰氏は現地において、さらに9月27日まで継続して調査をした。研究分担者の山田孝子氏は6月2日〜7月8日にサハ共和国において実地調査を行った。ここでは、各地で行われるヤク-トの最も重要な儀礼であるウセフ(夏祭)についてヤク-ツク市などの地域を対象に参与観察調査を行った。ヤク-ツク市においては国外研究分担者であるダニエル・エフレーモフ氏とともに調査を行った。研究代表者(煎本孝)はまた、平成9年3月6日〜3月29日にカムチャッカ北部地域において遊牧コリヤ-クを対象とした実地調査を、国外研究分担者であるアレクサンダー・バダイェフ氏とともに行った。研究分担者である池谷和信氏はモンゴル文化に関する文献学的研究を日本において行った。また、各地域において、各民族に関する歴史的情報資料、自然環境、伝統的生活の一年、儀礼とアニミズム/シャマニズム等の世界観に関する情報資料を基本的資料として収集するとともに、儀礼の実地観察に基づくビデオ撮影を行った。実地調査に基づく資料は現在分析中であるが、北方ツンドラ地帯でトナカイ遊牧を行うコリヤ-ク、北方森林帯で馬・牛を飼育するヤク-ト、北方草原帯で馬の遊牧を主体とするモンゴルというように、東北アジアの北方諸文化は、自然環境を異にし、牧畜形態も異なるにも関わらず、共通する世界観、儀礼の存在が認められる。さらに、シャマニズム、伝統的世界観、伝統的儀礼の復興が各地で図られ、それが文化的アイデンティティの形成と深く結びついていることが明らかにされた。
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