研究課題
国際学術研究
調査遺跡はクントゥル・ワシとマイチリの2カ所であった。それぞれの成果は以下の通りである。クントゥル・ワシ:(1)最古の時期イドロ期の神殿建築の一部を発掘しその構造と更新の過程を明らかにした。(2)遺跡中央部やや西の所にクントゥル・ワシ期の基壇を発見し、その内部に作られた墓と、黄金製の冠、耳飾りその他の副葬品を発掘した。(3)第3の時期のコパ期の人基壇の大部分を発掘し、石彫、壁面のレリーフ、倉庫らしい小部屋群を発見、全体の構造や位置関係を精査した。また、この基壇の下にクントゥル・ワシ期の頑丈な基壇があることを確認した。土器の復元、石器や骨角器の整理など、遣物についての基礎データもまとめた。マイチリ:小規槙の発掘を行って、最初の居住が紀元前1500年頃にさかのぼること、その後はクントゥル・ワシと同じ様な時代変遷をたどること、しかしながら後世のカハマルカ文化の時代に大がかりな改変があり、今目見る外観を呈するにいたったことを明らかにした。総じて、今回の調査により、アンデス文明形成期における神殿の果たした社会的役割が想像以上に大きいこと、神殿祭祀の推進者である神官が、非常に高い地位と権威を持つ存在であることが明らかになったが、神殿と社会の相互関係の動態的側面については更なる調査が必要である。
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