研究分担者 |
片山 章雄 東海大学, 文学部, 助教授 (10224453)
吉田 豊 神戸市外国語大学, 助教授 (30191620)
杉山 正明 京都大学, 文学研究科, 教授 (00127094)
林 俊雄 創価大学, 文学部, 教授 (50132759)
松田 孝一 大阪国際大学, 経営情報学部, 教授 (70142304)
|
研究概要 |
突厥(6〜8世紀)・ウイグル(8〜9世紀)・モンゴル帝国(13〜14世紀)は,いずれも現モンゴル国に属するモンゴル高原をその本拠としつつ,火薬革命以前の前近代ユーラシア世界の広範な地域にわたって大きな影響力・支配を及ぼした遊牧騎馬民族国家である。これらの遊牧騎馬民族国家が,その本拠であるモンゴル高原に残した遺蹟・碑文などのきわめて重要な考古資料・文献資料は,20世紀初頭以降,旧ソヴィエト連邦の影響下にあって,世界の学界にはきわめて不十分な形でしか公開されてこなかった。しかし,近年の自由化に伴うモンゴル国と日本との国際的学術交流の活性化により,これらの遺蹟・碑文等を直接調査し,従来の研究を検証・深化させる機運が高まった。本研究では,モンゴル国科学アカデミー歴史研究所の全面的協力を得て,平成8年(1996)〜平成10年(1998)の3年間で,モンゴル高原に散在する遺蹟の立地調査ならびに碑銘の再解読を行ない,歴史学的・文献学的研究の基礎作業を行なった。 本研究の主題からも分かる通り,遺蹟に関しては,現状確認のための表面調査と,歴史学研究にとって重要な意味を持つ景観調査とを主な課題とした。碑文・銘文については,解読研究の価値があるもの全てについて2セットの拓本を採取し,1セットをモンゴル国科学アカデミー歴史研究所に保管し,もう1セットを所定の手続を経て大阪大学に将来した。これにより,日本側では従来の文献学的研究の誤りを訂正して解読を深化させることが可能となった。さらに,これまで未発表の碑文・銘文をも新たに発見し,モンゴル高原の遊牧民族史研究にとって貴重な新資料を得た。 成果報告書において,各時代の遺蹟については現状確認作業の結果を提示する。突厥・ウイグル時代の古代トルコ語・ソグド語碑文については,原碑実見調査に基づく最新のテキスト転写を提出する。モンゴル期の遺蹟及びモンゴル語・ペルシア語・漢語・碑文については,本格的調査が最終年度(平成10年=1998年度)に集中したため,時間的制約から既発表の碑文に対する再解読を中心とし,新出資料については基礎的作業成果のみを提示する。
|