研究課題/領域番号 |
08041016
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
須藤 健一 神戸大学, 国際文化学部, 教授 (10110082)
|
研究分担者 |
吉岡 政徳 神戸大学, 国際文化学部, 教授 (40128583)
山本 真鳥 法政大学, 経済学部, 教授 (20174815)
橋本 和也 京都文教大学, 人間学部, 教授 (90237933)
船曳 建夫 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (90165457)
|
キーワード | 南洋群島 / パラオ・ヤップ / 仏領ポリネシア / 伝統芸能の復活 / 反植民地運動 / 植民地統治と移民 / インド系フィジ-人 / キリスト教布教史 |
研究概要 |
本年度は、植民地から独立を果たした6か国(ミクロネシア連邦、パラオ共和国、フィジ-、パプアニューギニア、ヴァヌアツ、トンガ王国)とひとつの植民地(仏領ポリネシア)で、住民の植民地時代の歴史経験についての調査を行った。 1.旧日本統治領南洋群島(ミクロネシア)の人々は、日本時代と太平洋戦争、そしてアメリカ時代を経て、被統治者としてそして大国の都合で引き起こされた戦争や核実験の被害者としての歴史経験から、「自分の国」を自らの意志で運営することの重要性を認識している。 2.英国から独立したフィジ-は、人口・経済的に優位にあるインド系住民と、土地所有権と政治権力を掌握するフィジ-人との対立、つまり植民地政策に起因するエスニックな問題を抱えている。社会・経済的に劣位にあるインド系住人の知識人や技術者の多くは海外移住を志向している。 3.英国とフランスの共同統治領から独立したヴァヌアツは、多民族国家である。ビスマラ(ピジン)語を共通語にキリスト教による国民的アイデンティティの強化を目標としているが、旧宗主国の統治政策の相違、カ-ゴカルトや個々の民族の自己主張により国家統合に問題を残している。 4.西サモアは反植民地運動を行うと共に、イギリス式の議会・行政制度を導入したが、形式だけの模倣であり、今日まで伝統的政治組織を温存させてきている。 5.仏領ポリネシアの人々は、核実験場の代償としてのフランスの財政援助策により、高水準の生活を営んでいる。文化的には伝統芸能の復活ないし創造により民族としてのアイデンティティを強めている。
|