研究課題/領域番号 |
08041016
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究分野 |
文化人類学(含民族学・民俗学)
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
須藤 健一 神戸大学, 国際文化学部, 教授 (10110082)
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研究分担者 |
大谷 裕文 西南学院大学, 文学部, 教授 (20112279)
吉岡 政徳 神戸大学, 国際文化学部, 教授 (40128583)
山本 真鳥 法政大学, 経済学部, 教授 (20174815)
橋本 和也 京都文教大学, 人間学部, 教授 (90237933)
船曳 建夫 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (90165457)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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キーワード | 植民地主義 / オセアニア / 土地制度と改革 / キリスト教と植民地統治 / 伝統舞踊(フラ)と社会的アイデンティティ / 反植民地運動 / 習慣と国家統合 / 開発と資源保護 |
研究概要 |
オセアニア島嶼国及び地域は、18世紀以降本格的な植民地支配を受けてきた。そして、第二次世界大戦後の1962年のサモアを皮切りにあいついで独立し、現在12の国家が誕生している。政治的に独立しても、いずれの国も財政を旧宗主国に依存しており、また政治、行政、教育、福祉・医療から、人々の生活様式にいたるまで植民地時代に統治者から受けた影響は根強く存続している。そして、人々は植民地時代と独立後の双方の社会や生活を体験しており、植民地統治に対する評価を行うことが可能である。 本研究の目的は、植民地統治にたいするオセアニア島嶼民の歴史認識と今日的評価、つまり人々の歴史体験に基づく個別社会の歴史を明らかにすることである。この目的に従って、研究代表者と分担者は、ミクロネシア連邦、パラオ共和国、ハワイ、フィジー、パプアニューギニア、バヌアツ、トンガ王国、サモア、仏領ポリネシアなどでのフィールドワーク及びオーストラリア、ニュージーランドの研究機関、図書館、古文書館、教会などでの歴史資料の検索・収集も行った。その結果、 1) ミクロネシア地域の調査では、日本統治時代の土地制度が現在土地登記制度の基本になっている、 2) ハワイやタヒチでは、伝統舞踊の復元と実演が民族・社会的アイデンティティを高揚させている、 3) フィジーにおいては、キリスト教の布教が植民地統治の社会秩序の維持に大きく貢献している、 4) サモアにおいては、今世紀初頭から住民による組織的な根強い反植民地運動が展開されている、 5) バヌアツなどメラネシアでは、植民地時代以降に外国から導入されたものや制度と古来からの「習慣」とを明確に区別し、習慣の維持・存続を通して国家統合を推進している、 6) トンガでは、王が王国を建設し、19世紀末には近代的政治制度に基づく国家を形成した、 7) パプアニューギニアでは、植民地時代からの経済開発により、資源保護と開発優先をめぐる住民間の対立が顕在化している、ことなどが明らかになった。
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