研究分担者 |
SHARMA R.C. ジャワハルラルネルー大学, 教授
荒木 一視 山口大学, 教育学部, 助教授 (80254663)
友澤 和夫 岡山大学, 環境理工学部, 講師 (40227640)
澤 宗則 神戸大学, 発達科学部, 助教授 (40235453)
由井 義通 広島大学, 教育学部, 助教授 (80243525)
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研究概要 |
本研究は,近年進展著しいインド工業化の地域的実態を,低開発地域と開発地域の2つの大規模工業団地の比較を通じて明らかにしようとするものである。本年度は,開発地域の事例として,近年成長著しいデリー工業圏の一翼を担うウッタールプラデ-シュ州のノイダ工業地域で調査を実施した。主な調査は,役所での資料収集のほか,ノイダ工業団地における工場の面接聞き取り調査,住宅団地居住世帯の面積調査,商店の面接調査,抽出村落ライプールでの世帯悉皆調査である。主な調査結果は以下の通りである。 1)本工業団地は,デリー市に隣接して開発された大規模工業団地であるため,住宅団地としての機能も大きく,すでにデリー市と実質的に一体化している。新規の工業化は,さらに遠方のグレーターノイダ地区にまで拡大している。2)当地域の工業は,工場間の取引連関が大きいこと,独自技術をもった自立性の高い企業が相当数あることなどに,低開発地域と異なる特徴がみられる。また,首都に近接するため外資系の企業進出も多い。3)急速な人口増加に伴い商業地区が発展するが,計画的なものと自然発生的なものに分かれ,両者は扱う商品や商店の形態のほか,インフラストラクチャーの面でも差異が著しい。4)工業団地内には旧村落が移転されずに残存するが,住民の経済的向上は見られるものの,生活環境面で多くの問題を抱えている。5)近接農村ライプールは大都市近郊の兼業農村としての性格を明瞭に示す。ノイダ地区において工業のみならず公務・商業をはじめとした多様な就業に従事するほか,デリー市への通勤も多い。労働力不足に対応するため,農業の機械化が進んでおり,ビハ-ル州からの出稼ぎ農業労働者の雇用も多数みられる。
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