研究分担者 |
吉村 慎太郎 広島大学, 総合科学部, 助教授 (40220735)
三木 直大 広島大学, 総合科学部, 助教授 (10190612)
上原 麻子 広島大学, 大学院・国際協力研究科, 教授 (70193836)
西田 正 広島大学, 総合科学部, 教授 (60043816)
大塚 豊 広島大学, 大学教育センター, 教授 (00116550)
浮田 三郎 広島大学, 留学生センター, 教授 (50136016)
田中 春彦 広島大学, 学校教育学部, 教授 (90033638)
田畑 佳則 広島大学, 大学院・国際協力研究科, 教授 (10155228)
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研究概要 |
平成8年度は,主たるフィールドを東南アジアにしぼり,台湾,香港を含め,9カ国・地域について調査・研究した。その結果,おおよそ次のような新たな知見を得た。 1,当該地域では著しい経済発展が始まり,都市化の進展も著しい。それは、各国の首都のみならず,地方拠点都市まで広がってきた。 一方,これらの都市周辺農村では,伝統的な農業と企業的農業の両方が変容を余儀なくされ,兼業化や都市向け作物の栽培さらには住宅地化など土地利用にも変化を引き起こしてきた。さらに台湾では,都市から離れた農村で,若年層の流出によって,人口的過疎を引き起こしている。 2.東南アジアの文化に関して,普通華語と地方華語,華語と現地語(英語を含め)との角逐が,各地の政治状況を反映しながら,さらに深まってきた。 3.教育分野では,調査国によって教育事情が予想以上に異なることが改めて分かったが,おおよそ次のように要約できる。 (1)義務教育は,多くのASEAN諸国ではすでに国民に普及してきたが,ミャンマーでは教員の待遇や教育施設など教育環境がなお厳しく,またベトナムでは制度面からの改革が緒についたばかりである。 (2)次に,高等教育の底上げが課題となっており,その方向や方法が問われている。方向とはそれぞれの国家的見地からの課題で,技術教育のレベルアップや先進国への留学に頼ってきた高等教育を自国で行いたいというものである。次に方法とは,国営・公営によるか,民営によるかの問題で,複合民族国家におけるそれぞれの文化,アイデンティティの維持,継承と係わるさらに大きな問題である。 (3)日本語教育に関しては,日本の援助が続いているが,その努力がさらに期待されている。ただ,英語教育を含め外国語教育は,常に国家政策との整合性が問われている。 (4)環境に関する関心の高まりも見られ,熱帯環境保護のための教育が始まった。
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