北・中央ユーラシアのチュルク系極小言語の調査研究

1996 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 08041022
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 庄垣内 正弘 京都大学, 大学院・文学研究科, 教授 (60025088)
• 研究分担者: PETROV A.A. ロシア教育大学, 極北諸民族学部, 助教授 ; ARTEMIEV N.M ロシア教育大学, 極北諸民族学部, 助教授 ; 江 塔伊尓 新〓ウイグル自治区社会科学院, 語言研究所, 所長 ; 肉孜 沙比提 新〓ウイグル自治区社会科学院, 語言研究所, 顧問 ; SHCHERBAK A. ロシア科学アカデミー言語学研究所, アルタイ諸語セクション, 主任研究員 ; 菅原 睦 東京外国語大学, 外国語学部, 助手 (50272612) ; 藤代 節 神戸市看護大学, 看護学部, 助教授 (30249940) ; 林 徹 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 助教授 (20173015)
• キーワード: チュルク諸語 / アルタイ諸語 / 新ウイグル語 / ヤク-ト語 / ドルガン語 / ユーラシア / シベリア / 中央アジア

研究概要

1派遣による研究実績:(1)1996年7月に藤代がサンクト・ペテルブルグ及びベルリンにて北ユーラシアのチュルク系極小言語について情報収集、文献検索等の予備調査を行い、同年8月から9月にかけてアルタイ地方を含み、シベリアにおいて北方チュルク諸語の一次資料収集に従事した。(2)1996年7月から9月初めにかけて菅原がアンカラ及びイスタンブルにて中央ユーラシアのチュルク諸語について情報収集、文献検索をおこなった後、新〓ウイグル自治区にてチュルク諸語の予備的調査にあたった。なお、庄垣内、林は新〓ウイグル自治区等での調査が本年は予備的性質が強いものであったため、招聘研究者らと国内にて調査を行った。
2招聘による研究実績:(1)1996年12月にロシア国からシチェルバック、アルテミエフ、ペトロフが、中国からタ-イル・ジャン、サ-ビット・ローズィが来日し、本研究課題について調査研究を行った。庄垣内はシチェルバックと中央・東シベリアのチュルク諸語に関する最新の情報を整理し、林はタ-イル・ジャンとサ-ビット・ローズィーと共に来年度の準備として新ウイグル語等の語彙調査を行った。また、ゴルジャ方言及びカシュガル方言の音声データを収録し、現在音声データ・ベースに加工しつつある。菅原、藤代も各々、夏期の調査で収集した資料の整理を招聘研究者らと行った。(2)国外からの研究者ら招聘を機に本研究課題のもとにシンポジウム「北・中央ユーラシアのチュルク諸語」(1996年12月22、於・東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所)を開催した。
3国内研究分担者間での研究実績:年度を通じて国内の研究分担者間で研究会をもち、本調査研究で得られた知見を報告し、討議した。
以上の本年度の研究は研究論集としてまとめ、近日中に刊行の予定であり、来年度以降も成果については年度毎に研究論文集としてまとめていく計画である。

研究成果

• [文献書誌] 庄垣内 正弘: "ウイグル文『サダ-プラルリタ菩薩とダルモードガタ菩薩の物語』について(1)" 神戸外大論叢. 46-4. 1-14 (1996)
• [文献書誌] 庄垣内 正弘: "ウイグル文『サダ-プラルリタ菩薩とダルモードガタ菩薩の物語』について(2)" 神戸外大論叢. 46-5. 1-13 (1996)
• [文献書誌] 庄垣内 正弘: "ウイグル文字音写された漢語仏典断片について-ウイグル漢字音の研究-(続)" 西南アジア研究. 46(近刊). (1997)
• [文献書誌] 林 徹: "Separated Genitive Construction in Modern Turkish" The Dative and Related Phenomena. Tokyo Hituzi Syobo. 227-253 (1997)
• [文献書誌] 藤代 節: "ヤク-ト語語彙研究(2):方向表現" 学術情報センター紀要. 9(近刊). (1996)
• [文献書誌] 林 徹: "現代ウイグル語ウルムチ方言彙集" 東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所, xvi+252 (1996)
• [文献書誌] 林 徹(共編): "The Dative and Related Phenomena" ひつじ書房, 310 (1997)