研究分担者 |
酒寄 雅志 國学院大学, 栃木短期大学, 教授 (90187055)
鈴木 靖民 國学院大学, 文学部, 教授 (20052160)
清水 信行 青山学院大学, 文学部, 助教授 (00178980)
大貫 静夫 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (70169184)
宇田川 洋 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (50107520)
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研究概要 |
平成10年度は本研究の最終年度である。本年度は沿海州の最南端にあるクラスキノ土城を発掘した。ここは渤海の使者が日本に向けて船出した遺跡であるとする意見がある。いわゆる日本道に関連した遺跡である。昨年春,まだ草が芽吹いていない時期に中国との国境付近を踏査した経験によって,ますますクラスキノ王城が日本道に関係した重要な遺跡であることを確認した。その際,クラスキノ土城の城内も詳しく踏査し,城内の各所に礎石らしきものが散在していることも確認した,この踏査結果に基づき,城内東南部を発掘調査の対象地域として選定した。発掘調査は城壁部分のトレンチ調査(第1地点)と東門(第2地点)の構造把握のための調査とを実施した。第1地点では新旧二つの石壁の存在を確認した。旧石壁は当初の城壁本体を飾るものであって,赤褐色頁岩の節理面を巧みに利用したものであるが,新石壁はかなり後世になってから.河原石を使用して積んだだけの簡単なものであった。両者の間にはかなりの時間差があるものと思われる。なお第1地点の城内部分で建物の基礎と思われるような石組遺構が発見されたが,この部分の詳細は次年度以降に持ち越された。東門では要城部分の構造を明らかにすることを目的として発掘が行なわれた。甕城外壁の構造は芯を土塁とし,外面は川原石を積み上げたものであることなど,甕城全体の構造の解明も次年度以降の調査にのこされた。本年は発掘開始直後に大雨にあい,作業が予定どおり進まなかったことを付記する。
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