研究課題/領域番号 |
08041032
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研究機関 | 和光大学 |
研究代表者 |
前田 耕作 和光大学, 人文学部, 教授 (50100467)
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研究分担者 |
中村 忠男 立命館大学, 文学部, 助教授 (50278488)
松枝 到 和光大学, 人間関係学部, 教授 (20181696)
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キーワード | イスラーム教 / ヒンドゥー教 / 聖地・聖蹟 / 巡礼地 / 言語文化 / 民俗学 / 宗教図像 / ヒングラージ |
研究概要 |
平成8年度の和光大学隊によるバローチスターン学術調査は、パキスタン南西部のバローチスターン州の山岳地帯を対象に、同年7月30日から9月7日にかけて実施された。 研究員3名、調査協力者1名からなる調査隊は、主として民俗学的聞き取りと聖俗図像蒐集という二つの目的にそって、複数文化の交錯するバローチスターン州における民間信仰の実態的現場であるイスラーム教とヒンドゥー教の聖地・聖蹟・巡礼地の調査を行った。 調査地内部へ入る前の準備期間には、イスラマバ-ドのロ-クヴィルサ研究所、ラホールのパンジャーブ大学、クエッタのバローチスターン大学や諸民族言語文化アカデミー各所を訪問して関係資料及び調査地の情報の収集、これまでの研究評価と今回の調査計画についての意見交換をおこなうことができた。 バローチスターン内における実際の踏査は、北部からクエッタ地区、ボーラーン地区、ズィアーラト地区、カラート地区、フズダール地区、ラス・ベ-ラ地区の順に作業を行い、地図上では、州都クエッタと港町カラチをつなぐ南北軸上に南下しながら、各調査点で東西に移動するコースをとった。中でも宗教・民俗学的視点から重点調査を行ったのが、カラート地区南東部、フズダール地区東部、そしてラスベ-ラ地区の都市ベ-ラと同地区内に存在するインド世界最西端のヒンドゥー女神巡礼地ヒングラージである。 今回の調査で得た最大の成果は、ヒングラージ調査の実現によって、クエッターフズダール-ベーラーカラチをつなぐヒンドゥー・イスラーム両宗教の聖地・聖蹟とヒングラージとの関係を明らかにできたことである。この新たなる知見は、一九九七年度に予定しているフズダールートルバット-パスニをつなぐ東西軸上のマクラーン地方へと調査対象を発展させる資料的根拠となった。
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