研究課題/領域番号 |
08041034
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研究機関 | 京都国立博物館 |
研究代表者 |
赤尾 栄慶 京都国立博物館, 学芸課, 主任研究官 (20175764)
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研究分担者 |
方 廣〓 中国社会科学院, 世界宗教研究所, 仏教研究室副主任
MONIQICE Coh フランス国立図書館, 東洋写本部, 東洋写本部長
富田 淳 東京国立博物館, 学芸部・東洋課, 中国美術室長 (20227622)
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キーワード | 敦煌写経 / 敦煌写本 / 北京図書館 / 料紙 / 書風 / 書法 / 石刻 |
研究概要 |
北京図書館特蔵部において、同館所蔵の敦煌写本・写経のうち、5世紀から10世紀にかけての書写奥書を有するものを中心に約40件について精査し、その書風・書法の観察および紙数・紙高・紙長・紙色・紙厚・〓目・界高・界巾などの書誌データを採録した。 その結果、昨年来の知見であった時代ごとの書風・書法や料紙の紙質および大きさの変化を追認するとともに、5世紀以後の写本の平均的な界高が20cm前後であるのに対して、5世紀の写本では界高が22-24cmと大きめになっているおり、これに伴って天界・地界の余白が狭くなっていることを確認した。更にわずかな写本に関しては偽写本である可能性が指摘できた。 また1行の字数が17文字になる時期が6世紀にごく近い5世紀末であることや、7世紀から8世紀にかけての唐時代の写経の1紙あたりの行数が28行となっていることなどの点を追認したが、同じ唐時代でも「長安宮廷写経」と呼ばれる一群の写経は、1紙の行数が31行となっていることなども確認した。これら唐時代の写経のうち、7世紀後半の高宗の時代のものが料紙・筆致ともに最もすばらしく、それに次ぐのは高宗の後の則天武后の時代であることがわかった。 西安碑林博物館においては、紀年のある敦煌写本とほぼ同時代の碑文や墓誌などの石刻の書風を調査し、単に紙と石という書写材料の違いではなく、典籍として仏教経典を書写するという行為と碑文として石に刻むという行為の違いによって書風が相違することを確認した。
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