研究課題
研究題目:「古代東アジアにおける青銅器の変遷に関する考古学的・自然科学的研究」今年度は中国で発掘された西周時代、および戦国時代の青銅製資料の鉛同位体比を70点測定した。そして二里頭遺跡出土資料、西周時代および戦国時代の資料に関して化学絵成を昨年度資料に追加して測定することができた。これら資料の鉛同位体比・化学組成は当時の金属を取り扱う技術・交流を理解する上で重要である。中国で発掘した資料を選択・採取し、それら資料の鉛同位体比・化学組成を日本で測定するために中国から金正耀氏を招請して、共同研究を続けた。この招請は非常に有意義であり、実際の測定に関して実用的であった。本研究費を利用し、考古学・自然科学の日本の研究者が中国を訪問し、安陽殷墟、偃師商城遺跡を訪問したこと、鄭州商城の発掘現場を見学できたことは有意義であった。本年度までに測定された資料の鉛同位体比および化学組成の意味について検討した。自然科学的なこれら測定値から東アジア地域における青銅文化の変遷として、中国国内における発展、中国から朝鮮半島、朝鮮半島から日本への伝搬について討議した。その結果、中国国内に関してはそれぞれの王朝毎に利用する鉱山ないし、活動領域が異なって表れており、王朝毎の違いがはっきり表れ、今後考古学的な理解とどのように組み合わせて行くのか非常に興味ある結果がまとめられた。今後は中国における王朝の推移という中央の流れと、各地方的な流れがどのように対比されるのか、また朝鮮半島および日本における資料が東アジア全体を理解するために重要であることがより一層鮮明になった。
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