研究課題/領域番号 |
08041038
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
松山 利夫 国立民族学博物館, 第3研究部, 教授 (80111087)
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研究分担者 |
清水 昭俊 国立民族学博物館, 第4研究部, 教授 (30009758)
黒田 悦子 国立民族学博物館, 第4研究部, 教授 (60110079)
青柳 真智子 茨城キリスト教大学, 文学部, 教授 (00089278)
青柳 清孝 京都文教大学, 人間学部, 教授 (90052224)
岸上 伸啓 国立民族学博物館, 第1研究部, 助教授 (60214772)
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キーワード | 先住民 / 都市 / アイデンティティ / 環太平洋 |
研究概要 |
1)1950年代以降における都市の膨張は、多くの先住民を都市に吸収していった。たとえばオーストラリアやニュージーランド、アメリカにおいては、先住民人口の約7割が都市居住者となっている。 2)その一方で、イヌイットやデネ-(カナダ先住民)のように、都市居住者は少数で、ようやく近年になって都市移住を開始したグループが存在する。その移住の動機は、本来の居住地が持つ問題-家庭内暴力、アルコール、生活の都市化など-に求められる。 3)同様に台湾では、山地に居住してきた先住民が、近年の経済成長とともに都市労働者として移住を開始した。彼らは都市に住宅をもちつつも、なお出稼ぎ的な性格を保持している。 4)あるいはフィリピンの先住民の1つアエタは、都市に包摂されながらも、行商という彼らの生活様式を維持している。 5)都市先住民の形成は、メキシコのように長い歴史をもつ例と、1950年代以降の例とがある。このうちメキシコでは、高地ミヘのように、先住民が州都の大衆文化を活性化させていることが注目される。 6)いずれにおいても都市の先住民は、生活様式をマジョリティ社会に同化させつつも、なお強固なアイデンティティを保持している。 7)このことが、都市の先住民と居留地や村の居住者との連携を可能にし、いわゆる先住民運動に、都市居住者が中心的な役割を果たす例が多い。その一方で、ニュージーランドのマオリに典型的なように、都市先住民諸グループ間でのコンフリクトが存在するのも事実である。
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