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1997 年度 実績報告書

西アフリカ・多民族社会における共生原理の民族学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 08041039
研究機関国立民族学博物館

研究代表者

江口 一久  国立民族学博物館, 第三研究部, 教授 (90045261)

研究分担者 井上 亮  大阪女子大学, 人間関係学科, 教授 (30176458)
PHILIPS John  弘前大学, 人文学部, 助教授 (70292133)
キーワード西アフリカ / 多民族社会 / 共生 / 生業差 / 言語文化 / 独立 / 国民社会 / 奴隷制度
研究概要

西アフリカの都市や村落には通常、複数の民族がすむ。かれらは、自分の民族性を維持すると同時に、他の民族の民族性をもみとめるような形で共生している。とくに、都市においては、従来都市でみられるより、よりおおくの民族がある共生関係をたもちながら、共生しているといえる。共生とは、おたがいの違いをみとめつつ、争いをさけ、争いがあっても、巧妙にそれを解決するということである。本研究のは、この共生原理を究明することである。
ある共生関係には、十九世紀以前、植民地時代、独立以降、独立以降市民社会成立以降にできあがったものがある。たとえば、各民族の生産様式の違いをギブ・アンド・テイクの形でおたがいが利用するようなものは、ふるい時代からある。牛牧を専門とするフルベ族が、農耕民の刈り入れのおわった畑にはいり、ウシにそれらを食べさせる。ウシは、糞をするので、畑がこえる。農耕民は、自分のウシを牧畜民にあずかってもらう。農耕民は、穀物を牧畜民の乳製品、肉と交換する。
植民地時代には、奴隷制度が廃止された。奴隷というものは、言語・文化的には、奴隷主とおなじではあっても、社会的には、まるでべつの「民族」ともいえるものであった。植民地時代から、感情的には、この二つの「民族」は、感情的には、問題があっても、おたがいが家族のような関係を維持している。むろん、表向きの売買はない。奴隷主は、機会があることに、奴隷たちに無償もしくは、有償で自由をあたえている。
西アフリカの各国は、一九六〇年ころにあらそって独立した。独立は、人工的な国境をつくった。各国政府は、つとめて、民族性より、国民性を強調し、国の統一性を教育してきた。これも、一応の効果をあげているといえる。各国とも、政情が安定し、従来自分たちのすんでいる場所ではないところまでも、移住することで、民族関係はさらに複雑になってきた。いまのところどうなるかわからないけれども、おたがいに他の民族のイメージをつくりあげているといえる。むろん、政治的、経済的、文化的にも、多民族の共生が今後の国民生活の安定にかかすことができない。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] 江ロ -久: "人から人へのアフリカの口承文芸" 国際協力. 512号. 10-11 (1997)

  • [文献書誌] 江ロ -久: "西アフリカ・昔話をきくたのしみ" 昔話 研究と資料. 25号. 71-86 (1997)

  • [文献書誌] 江ロ -久: "北部カメノレーン・フルベ族の民間説話集III" 松香堂, 1138 (1998)

  • [文献書誌] 江ロ -久: "北部カメノレーン・フルベ族の民間説話集II" 松香堂, 1062 (1997)

  • [文献書誌] 井上 亮: "癒しの森" 創元社, 260 (1997)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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