研究分担者 |
パッパラルド U ナポリ大学, 文学部, 講師(常勤)
堀 賀貴 日本学術振興会, 海外特別研究員
酒井 聰 (財)古代学協会, 古代学研究所, 講師 (20215586)
丹羽 佑一 香川大学, 経済学部, 教授 (50140471)
岩井 経男 弘前大学, 人文学部, 教授 (10113771)
櫻井 俊雄 近畿大学, 理工学部, 教授 (60088424)
渡辺 誠 名古屋大学文学部, 教授 (20072712)
横山 卓雄 同志社大学, 理工学研究所, 教授 (10066243)
平田 隆一 東北大学大学院国際文化研究科, 教授 (00048779)
浅香 正 (財)古代学協会, 古代学研究所, 教授 (70066059)
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研究概要 |
本研究計画の対象とするポンペイ遺跡城壁北部の調査地区においてポンペイ都市の起源問題を考古学的に調査するという目的に基づき、城壁未発掘部分の発掘を行い,城壁上の防禦施設の一つである塔(通称第9塔)を中心に,ローマ時代の遺構面だけでなく,中世以降の生活面と思われる遺構や,ローマ時代以前の下層遺構を検出した。また塔の背後で検出されたローマ時代の道路面を本格的に掘り進めた結果,この遺構は厚さ2m以上に及ぶローマ時代の遺物を投棄した堆積層から形成されていることが判明し,そこから夥しい量の土器や獣骨を中心とした自然遺物が出土した。その層の下に,塔が機能していた時代に塔への連絡通路として使用されていたと推測される前ローマ期の道路とおぼしき遺構が検出された。しかし今年度実施した発掘調査の範囲が限定されていたので,その完全な機能の解明は今後の課題として残されている。 またこの塔から東に約40m離れた発掘調査地区において城壁の発掘を行った結果,ポンペイ城壁に通常認められる外と内に2重に築かれた切石積み城壁のうち,内側の壁が途切れている箇所を検出した。その部分における層序や石積みをを検討した結果,この部分より西側においてはこの内壁は城壁築造当初から存在しなかった可能性が高いことが判明した。 さらに塔の東に続く,より古い段階の工法を反映している切り石で築かれた城壁の水準測量を行い,発掘の結果露頭した石積みの最上部分が築城当時の高さからどの程度欠落しているかを推定するデータを得た。その分析により,この付近では城壁は築城当時の地表面から約2m程の高さしか残っていないことが解った。 最後に発掘調査地区で認められる79年の噴火による火砕流の火山学的観察により,ポンペイの建造物上部を破壊した火山活動の様相が明らかになった。
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