研究分担者 |
堀 賀貴 山口大学, 工学部, 講師 (20294655)
坂井 聰 (財)古代學協會, 古代学研究所, 助教授 (20215586)
丹羽 佑一 香川大学, 経済学部, 教授 (50140471)
横山 卓雄 同志社大学, 理工学研究所, 教授 (10066243)
浅香 正 (財)古代學協會, 古代学研究所, 教授 (70066059)
|
研究概要 |
本研究の目的は,西紀79年のウェスウィウス火山の噴火で埋没したポンペイ遺跡を取り巻く城壁の最北端部の発掘調査により,城壁の建設起源と,その後の城壁の変遷過程の研究を通じて,ポンペイ都市の起源とその都市形成の過程を明らかにすることである。 1996年度の調査においては,ポンペイ城壁を構成する2重の石壁中,内側の壁が当発掘地区においては欠如していることを明らかにした。また,出土した主要な遺構である防御用の塔の出入口部の下層調査を行った。 97年度の調査においては,城壁の建築構造上重要な地点を3カ所選択し,それぞれにおいて,城壁建設以前の地表面まで達する下層発掘調査を行った。一番西に位置するトレンチからは,現行の城壁に先行する2種類の異なった形態の城壁が検出された。中央部の塔床面の下層調査からは,塔の建築当初のプランを反映するとみられるL字状の壁体が検出された。また現行の床面は,元の床面を約50cm程嵩上げして作られていることが確認できた。さらに塔背後の城壁と一般住居との間の地面地下および塔床面下から,一連の物と思われる暗渠状構築物が検出された。東側のトレンチからもやはり古拙なパッパモンテと呼ばれる石材で出来た城壁の痕跡が確認され,これは共伴遺物から前6世紀に遡る物であることが明らかになった。この地区での最初の検出例であり,ポンペイ都市の起源形態を考える上で重要な発見である。 98年度の調査においては,城壁と市街地との間の地面下層の発掘を行い,前年度の調査で検出された暗渠敷設に伴う一連の改築過程、およびその後の道路造成の過程が明らかになった。 以上の発掘論査に並行して,各分担者は専門的立場から,ポンペイ都市に関する文献学的研究,79年の噴火の火山学的メカニズムの解明,出土した自然遺物の調査,写真画像解析によるポンぺイ城壁の3次元データ化,出土遺物の整理・研究等を行ない,98年12月に発掘調査を終了した。
|