研究課題/領域番号 |
08041050
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
吉野 晃 東京学芸大学, 教育学部・地域研究学科, 助教授 (60230786)
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研究分担者 |
CHAMLONG Som 山地民研究所調査研究部, 研究員
CHANBAMRUNG モンコン 山地民研究所調査研究部, 副所長
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キーワード | ミエン・ヤオ族(ヤオ族) / 出稼ぎ / 国際労働力移動 / 農村-都市労働力移動 / 焼畑耕作民 / 農業外就労 / タイ山地民族 / 社会=文化変容 |
研究概要 |
平成8年度は郵便事故によって調査許可所得が遅れたため、当初予定の調査日程の一部を変更した。第一段階の調査(平成8年12月〜平成9年1月)においては、タイ全国のミエン・ヤオ族村落のうち十戸以上の規模を持つ村落約150ケ村の半数を、県・郡の分布に偏りが出ないように選択し、チェンラ-イ、チェンマイ、パヤオ、ナーン、ランパーン、スコータイ、カンペンペット、タ-クの8県にわたる総計74ケ村において施行した。出稼ぎの概況と社会・経済的な状態に関して、村長あるいは村落役員に、質問票に基づいて聞き取りを行った。その結果、バンコク等の国内への出稼ぎはどの地域にも見られるが、台湾等の海外への出稼ぎは、例えばチェンラ-イ県、パヤオ県で多い一方、ナーン県では全県でもごく少数にとどまるといった具合に、地域的な変差が大きいことが明らかになった。海外の出稼ぎ先は台湾が飛び抜けて多く、シンガポール、香港、日本の他、韓国、サウジアラビア、イスラエルなどが挙げられる。シンガポールへの出稼ぎはパヤオ県に多いなど、居住地域ごとの海外出稼ぎ先の変差も若干見られた。また、換金作物ないしその他の現金収入手段に、地域差があることも明らかになった。参考として、当該村落の出稼ぎ経験者に対しての面接聞き取り調査も行った。第二段階では、第一段階調査結果に基づいて出稼ぎ者が多い村と少ない村とをあわせて12ケ村選定し、各世帯の社会経済的状態と出稼ぎ者の経歴などを聞き取り調査した。第二段階は、本年度においては初次的な調査であり、次年度に継続して行われる。現在までの調査で看取される出稼ぎの要因として、経済的要因の他に、他民族との接触度、村落内の社会統合の強弱、儀礼的職能者の役割等も想定されるが、これは次年度以降の調査において精査してゆく。
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