研究課題/領域番号 |
08041051
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
牟田 博光 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 教授 (70090925)
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研究分担者 |
江坂 知子 (財)国際開発センター, 研究員 (10272684)
渡辺 良 国立教育研究所, 国際研究協力部, 室長 (30141980)
潮木 守一 名古屋大学, 大学院・国際開発研究科, 教授 (80022391)
浜野 隆 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 助手 (00262288)
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キーワード | 高学歴失業 / 教育計画 / 企業内教育 / 職業教育 / 教育援助 / 比較教育 / 失業率 |
研究概要 |
インドネシアの失業率は極めて低い。しかし、学歴別にみれば、失業率の差は大きい。1980年代半ばまでは大ざっぱに言えば高校卒、中学卒、短大、大学卒、小学卒の順に失業率が高い。しかし、短大・大学の普及拡大にともなって、事情が変わってきた。1986年以降は、失業率の高い順に高校卒、大学、短大卒、中学卒、小学卒の順になっている。 最近の全体的な傾向としては、高校以下では失業率が減少傾向なのに対して大学卒では増加傾向にあり、1993年度の失業率は普通高校卒12.38%に対して、大学卒は12.50%と、わずかながらその位置が逆転したことが分かる。全体の失業率を1とした時に、大学卒の失業率は1982年の1.64から1993年の4.53へ急増している。その他に相対的な失業率が増加した学歴区分は、短大計卒の1.79から2.60だけである。 インドネシアの学歴別失業状況は中間の学歴の失業率が高く、両端の学歴が低い、いわゆる逆U字型と、学歴が高い方が失業率が高い右上がり型の中間と考えられていた。しかし、年令を考慮すれば、右上がり型に非常に近いことが了解される。 15〜19才ではまだ短大・大学卒は労働市場にほとんど出ていないため、高校卒をピークとする右上がり型を示す。20〜24才では基本的には大学卒の45.5%の失業率をピークとする右上がり型である。25〜29、30〜34の年令ブロックでも大学卒の失業率が最も高く、高学歴失業の状況が強く見られる。高学歴者の失業率がなぜ高いか、人的投資の結果がなぜ社会的に活用されないかについては、来年度十分な分析が必要である。 インドネシアの高等教育の発展(就学率の上昇)はめざましいものがある。しかし、高等教育の発展のめざましいマレーシア、シンガポールなどには高学歴者の失業問題は見られない。これらの国については、過去にそのような問題がなかったか、なぜ現在問題がないかについて分析を深めることが必要である。これらについても次年度の課題とする。
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