研究課題/領域番号 |
08041055
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
馬居 政幸 静岡大学, 教育学部, 教授 (30126768)
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研究分担者 |
関根 英行 韓国東義大学校, 日語日文学科, 専任講師
夫 伯 慶熙ホテル経営専門大学校, 助教授
李 元馥 韓国徳成女子大学校, 産業美術学科, 教授
ちょう 永達 韓国ソウル大学校, 師範大学, 教授
外山 知徳 静岡大学, 教育学部, 教授 (40013213)
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キーワード | 日本文化 / 大衆文化 / 反日意識 / 世界化(国際化) / 新中間層 / 成熟社会 / 日本文化開放 / 自民族中心主義 |
研究概要 |
前年度からの継続として7月にソウル市、9月にソウル市、釜山市、大田市、10月に大田市、ソウル市で小・中・高・大学生、企業で働く青年、教育・マスコミ関係者、日本大衆文化関連業者への聞き取り調査と関係資料収集を実施。12月初旬にソウル市、釜山市、大田市、光州市の各市で小・中・高校生(2360名)への質問紙調査を実施。加えて、同日程で家庭や地域社会での生活様式の変化に関する聞き取り調査と小・中・高等学校での授業過程と学校行事の調査を実施。さらに11月末以来の経済危機と12月の大統領選挙の影響等についても聞き取り調査や資料収集につとめた。その結果、以下の知見が得られた 日本の大衆文化の青少年への浸透は、昨年以上に韓国全土に拡大していることが確認された。特に高校男子の約9割(昨年は約8割)が日本の翻訳漫画を読み、初めてアニメ等の日本大衆文化に接する平均年齢も10.9歳(昨年11.1歳)と早い。他方、従来の韓国社会では政治・経済状況に問題があると反日意識が高まったが、経済危機や大統頒選挙があったにもかかわらず日本(文化)批判の声は高まっていない。その理由として、(1)全体として経済成長と民主化の流れが相互に補完しつつ定着し、経済危機や選挙による変化を吸収する新中間層の拡大と社会意識の成熟化が進行していること、(2)近年の急激な情報化と世界化(国際化)により、反日意識の前提にある自民族中心主義的価値意識の相対化が進行していること、などがあげられる。だが、今回新たに調査した光州市を典型に旧世代の文化が支配的な社会は現に存在し、今後最も反日意識の強い世代(朝鮮戦争後のベビ-ブ-マ-)が40代後半で社会の中心を担うようになり、日本文化開放批判の背景に自国産業の保護要請があることから、今後経済危機の回復の遅れや金大中新政権の施策の方向によっては日本文化批判の再燃は十分ありうる。以前にもまして継続調査が必要である。
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