農工経済成長連関の農業成長と農村発展に及ぼす諸影響に関する研究

1996 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 08041057
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 辻井 博 京都大学, 農学研究科, 教授 (60027589)
• 研究分担者: ブンガラン サラギ ボゴール農業大学, 経済発展研究所, 教授 ; 亀山 宏 香川大学, 農学部, 助教授 (70177608) ; トングロート オンチャン カセサート大学, 経済学部, 教授 ; 小田 慈晃 京都大学, 農学研究科, 助教授 (70169308) ; 福井 捷朗 京都大学, 東南アジア研究センター, 教授 (10027584) ; 山口 三十四 神戸大学, 経済学部, 教授 (90030684) ; 新谷 正彦 西南学院大学, 経済学部, 教授 (70069706) ; 中田 義昭 京都大学, 農学研究科, 助手 (50273496) ; 柴垣 裕司 静岡大学, 農学部, 助手 (40260583) ; 大森 賢一 島根大学, 農学部, 講師 (50223962) ; 浅見 淳之 京都大学, 農学研究科, 講師 (60184157) ; 加賀爪 優 京都大学, 農学研究科, 教授 (20101248) ; 桂 瑛一 大阪府立大学, 農学部, 教授 (70035989)
• キーワード: 農業成長 / 農村発展 / 農工間連間 / 食料生産 / 所得分配 / 環境問題 / 経済成長 / 経済発展

研究概要

アジアの発展途上諸国で近年の工業部門の急速な成長と都市の膨張が、農業部門の成長と農村発展に強い影響を与え、また逆の影響も重要である。本研究は、アジア諸国を対象に、主として現地調査、従として文献的・統計的・計量経済学的方法により、第1に農業成長と農村発展の実体と特徴を農工・農都経済連関との関連で明らかにし、第2にそれらのアジア諸国内で引き起こす諸問題及びアジア全体や世界に対する影響を明らかにし、第3にこれら諸問題や悪影響を緩和する方策を経済性学的・政策学的に究明することを目的とする。平成8年度は、タイとインドネシアを対象にした現地調査を実施し、また日本において事前研究および、現地調査で得られたデータの分析を行った。
アジア諸国における最近の急速な工業成長と都市の膨張は、これら諸国の農業成長と農村発展を、農産物市場、生産要素市場、情報・技術、政策・制度・組織などの側面での農工間連間を通じて規定し、アジア諸国の農業部門・農村でいろいろな困難な問題を引き起こし、さらに長期的には世界食料需給や地球環境にも悪影響を及ぼす可能性が高い。タイとインドネシアでの特定地域の大都市に集中した工業成長は、急速な農工間労働移動の増加と農業労働力不足や優良農地の非農業用途への転用や耕作放棄のための食料生産の停滞と不足、及び農工間・地域間所得分配の偏りの悪化や自然資源・環境条件の悪化、農工間成長連関の下での農業生産・流通・貿易構造と農業に関わる組織・情報構造の変化に関わる諸問題、伝統的農村経済・社会構造の急速な変質など発生し、さらに経済成長と工業化が早すぎるためこれら諸国内のみならず国外へも環境問題や食糧不足の問題が波及すること、そしてそれら問題の数量的把握ができた。現在これら問題を解決するための最適農村・農業発展政策構造を全研究参加者と共に研究・考察している。

研究成果

• [文献書誌] 辻井 博: "危機に瀕する世界食糧需給" 世界(岩波書店). 12月号. 80-86 (1996)
• [文献書誌] 辻井 博: "ベトナムの農業政策・食糧自給の展開過程と将来展望" 京都大学生物資源経済研究. 第2号. (1997)
• [文献書誌] 浅見 淳之: "途上国の青果物市場の制度分析-インドネシア・タイを事例として-" 京都大学生物資源経済研究. 第2号. (1997)
• [文献書誌] 浅見 淳之: "途上国農村の雇用制度変化と所有権化-ジャワ農村を事例として-" 農林業問題研究. (未定).