研究課題/領域番号 |
08041059
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
掛谷 誠 京都大学, 大学院人間・環境学研究科, 教授 (30020142)
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研究分担者 |
マテー A.Z. ソコイネ農業大学, 農学部, 上級講師
田中 樹 京都大学, 農学部, 助手 (10231408)
杉山 祐子 弘前大学, 人文学部, 助教授 (30196779)
重田 眞義 京都大学, 大学院人間・環境学研究科, 助教授 (80215962)
篠原 徹 国立歴史民俗博物館, 教授 (80068915)
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キーワード | アフリカ / 在来農業 / 集約化 / 焼畑耕作 / ピット耕作 / 段階耕作 / チテメネ耕作 / 民俗知識 |
研究概要 |
タンザニア、エチオピア、ザンビアの諸民族を対象にした在来農業の集約化をめぐる現地調査で、以下のような成果をあげることができた。 1、アフリカ独自の農業集約化の特性把握:山地帯に住むタンザニアのマテンゴとエチオピアのコンソが発達させてきた集約性の高い在来農業の諸特性が明らかになった。マテンゴは、ピット耕作(掘り穴耕作)と呼ばれる独自の土壌保全型の農業を発達させてきたが、今回の調査では、一つの尾根を単位とした土地の保有と利用のシステム、各畑地の土壌肥沃度の分布、土壌や谷底低地についての民俗知識、人口増に対応した定住と移住の社会的メカニズムなどの解明が進んだ。コンソ調査では、広大な斜面地に展開する階段耕作を支える石積み技術や耕作法、堆肥・厩肥の積極的な活用、多種類の作物や畑地雑草についての民俗知識、また小河川での小規模灌漑システムなど、徹底して環境を利用し、集約的に展開する在来農業の実態が明らかになった。エチオピアのアリなどのエンセ-テ(エチオピア起源の作物)栽培民を対象とした調査では、エンセ-テの栽培法・利用法の解明が進み、また、エンセ-テの近代的な集約栽培の展開について、予備調査を行った。 2、農地経営・環境改変・植林活動の相互関係の把握:タンザニアのババティ周辺域に住むチャガ系移民を対象にして、世帯レベルの農地経営、薪採取の実態、現金獲得活動の内容と植林活動との相互関係の解明が進んだ。 3、焼畑耕作地における半常畑耕作の展開と問題点の解明:ザンビアのベンバを対象として、構造調整政策下で、特異な焼畑耕作(チテメネ耕作)と化学肥料などを投入する半常畑耕作の現状と問題点の整理、および衛星写真を用いた土地利用・疎開林の改変状況の解析が進んだ。現地での追跡調査は、次年度の課題である。
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